2019年08月05日、日本の商業施設シーンに衝撃的なニュースが飛び込んできました。これまで私たちの生活を彩ってきたショッピングセンター(SC)の勢いに、急ブレーキがかかっています。日本ショッピングセンター協会が発表したデータによると、業界全体がかつてない転換期を迎えているようです。日々の買い物やレジャーの拠点として親しまれてきた場所が、今まさに大きな壁に直面している事態は見過ごせません。
具体的な数字を見ると、その深刻さが浮き彫りになります。2019年01月01日から2019年06月30日までの上半期において、新たにオープンした施設はわずか16カ所にとどまりました。これは半年間の開業数としては統計開始以来、過去最少の記録を塗り替える異例の事態です。このペースで推移すれば、2019年12月31日までの年間通算でも、過去もっとも少ない開業数になる可能性が極めて濃厚となってきました。
ここで改めて「ショッピングセンター(SC)」の定義について解説しましょう。これは、複数の小売店や飲食店、サービス業などが計画的に配置された、一体型の商業施設を指します。一般的には、広い駐車場を備えた大型モールや、駅直結のファッションビルなどがこれに該当します。これまでは「建てれば客が来る」と言われた時代もありましたが、現在はそのビジネスモデル自体が根本から揺らいでいると言えるでしょう。
地方と都市、それぞれが抱える深刻な課題
なぜここまで開業数が落ち込んでいるのでしょうか。その背景には、地方と都市部がそれぞれ抱える根深い問題が存在します。地方圏においては、人口減少やEC(電子商取引)の普及により、既存の店舗が次々と閉店に追い込まれる「負の連鎖」が止まりません。一方で東京都心などの都市部では、すでに出店に適した土地が枯渇しており、飽和状態に達しています。どこもかしこも似たような施設ばかりという現状も否めません。
さらに運営側を悩ませているのが、テナント誘致の難航です。「テナント」とは、施設内に店を構える個別のブランドやショップのことです。人手不足による人件費の高騰や、実店舗の売上低迷を懸念する企業が増えており、以前のようにスムーズに出店が決まらなくなっています。有力なブランドが入らなければ、集客力が低下するのは避けられず、これが新規開発の断念や延期に直接つながっていると推察されます。
SNS上でも、この現状に対してさまざまな声が上がっています。「近所のモールがスカスカで寂しい」「どこに行っても同じ店ばかりでワクワクしない」といった、消費者側の冷ややかな意見が目立ちます。また、「わざわざ出かけなくてもネットで十分」という声も多く、リアルな店舗ならではの「体験価値」が提供できていない現状に対する厳しい指摘も散見されます。ユーザーの視線は、もはや単なる「モノ売り場」には向いていないのです。
私自身の編集者としての見解を述べさせていただけるなら、これは決して「商業の終わり」ではないと考えています。むしろ、無秩序に巨大施設を作り続けてきたこれまでの拡大路線が、ようやく終わりを告げたに過ぎません。これからは、地域に根ざしたコミュニティ機能や、ネットでは味わえない独自のエンターテインメント性を備えた施設だけが生き残るでしょう。質を重視した「選別」の時代が、本格的に到来したと言えます。
2019年のこの沈滞ムードは、次世代の商業施設が誕生するための「産みの苦しみ」なのかもしれません。私たちは、ただ買い物をする場所を求めているのではなく、心を満たしてくれる空間を求めています。これから年末にかけて、この厳しい逆風を跳ね返すような革新的な施設が登場するのか、あるいはさらに冬の時代が深まるのか。一人の編集者として、そして消費者として、今後の動向を注視していきたいと考えています。
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