東北6県における不動産市場の勢いに、ひとつの転換点が訪れたのかもしれません。2018年度の不動産売買取引額を調査したところ、前年度から26%も減少した349億円にとどまったことが明らかになりました。2年連続のマイナス成長となっただけでなく、取引額が400億円の大台を割り込んだのは実に2011年度以来、7年ぶりの出来事です。活況を呈していた市場に一体何が起きているのでしょうか。
今回の急落における最大の要因は、不動産投資信託、いわゆる「REIT(リート)」による物件取得が記録的に落ち込んだ点にあります。REITとは、多くの投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などの不動産を購入し、そこから得られる賃料収入などを配当として分配する仕組みの商品です。このREITによる2018年度の取得額が、前年度比で74%も減少したことが、市場全体の数字を大きく押し下げる結果となりました。
都市部を中心にオフィスの需要自体は決して衰えておらず、むしろ市況そのものは堅調に推移しています。しかし、投資の対象となるような新しい物件の供給が極めて少なかったことが、取引を停滞させる壁となりました。SNS上でも「仙台などの都市部はビルが埋まっているのに、新しい出物がない」「価格が高くなりすぎて手が出せないのでは」といった、供給不足や割高感を懸念する声が目立っています。
現場の視点から分析すると、現在の東北市場は「過熱感」との戦いにあると言えるでしょう。物件価格が高止まりしており、投資家が慎重な姿勢を強めている様子が伺えます。利回りが低下する中で、無理に高値掴みをすることを避ける動きは、市場が成熟した証拠とも受け取れます。優良物件の争奪戦は激しさを増していますが、安易な投資判断が許されないシビアな局面に入ったことは間違いありません。
2019年08月06日に発表された都市未来総合研究所のデータによれば、企業や機関投資家による取引は慎重に見極められています。今後、東北の不動産市場が再び活力を取り戻すためには、次世代のニーズを捉えた新規物件の登場が待たれるところです。単なる価格の上昇ではなく、実需に基づいた健全な取引が行われるかどうかが、2019年度以降の景気を占う重要な指標になるでしょう。
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