2019年6月8日現在、日本のアルミニウム需要家と海外の巨大資源企業との間で、2019年7月~9月期に適用されるアルミニウム地金(じがね)の調達費用についての交渉が本格化しています。ここでいう調達費用とは、世界のアルミニウム価格の指標であるロンドン金属取引所(LME)の価格に、運賃や手数料、そして地域の需給状況を反映させるために上乗せされる「割増金」、専門用語でいうプレミアムを指します。このプレミアムの金額が、今回の交渉では大きな焦点となっており、その動向は日本の製造業にとって無視できない問題となっています。
今回の交渉において、英豪系のリオ・ティントや米国のアルコアなどの大手資源サプライヤーが、日本の製品メーカーや商社に対して提示してきたプレミアムの金額は、1トンあたり115ドルから125ドルという水準です。これは、直前の2019年4月~6月期に合意された105ドルと比較すると、約1割から2割もの大幅な値上げ提示にあたります。このように2四半期連続で値上げが提示される背景には、世界生産の約6割を占める中国からの供給が減少しているという国際的な市場の変化があるのです。
中国国内では、現地のアルミ先物市場である上海期貨交易所(SHFE)の相場が年初から上昇傾向にあり、国際指標であるLME相場よりも割高な水準で推移しています。中国国内での価格が高くなることで、SHFE相場を参考に価格が設定される中国産のアルミ地金や類似品が、輸出市場において価格競争力を失っています。結果として、中国の輸出業者が海外への供給を抑制しているとみられており、これがアジア地域全体のアルミニウム地金の需給を引き締め、日本の調達価格上昇に直結しているといえるでしょう。
しかし、値上げ提示に対して、日本の買い手側である製品メーカーからは強い抵抗が見られます。日本では、例年、夏の需要期前の飲料缶材の需要ピークが過ぎるため、7月~9月期はアルミニウムの需要が鈍化する傾向があります。さらに、半導体関連の需要減少が長期化していることも追い打ちとなり、製品メーカーは今回の提示額の受け入れに難色を示しています。実際、一部の交渉では、資源大手の提示額よりも1割程度安い1トンあたり108ドルでの決着が既に確認され始めており、提示額の満額での合意は難しいとの見方が強まっています。
SNSでの反響と編集者の見解
このアルミニウム価格の上昇ニュースに対し、SNS上では「またコスト増か…」「製品価格に転嫁できるか心配」といった、製造業関係者とみられるユーザーの悲鳴に近い反応が多く見受けられます。アルミニウムは自動車、航空機、電子機器、そして日常的な缶製品に至るまで、極めて幅広い産業で使われる基幹材料です。そのため、地金価格の上昇は、最終的な消費者製品の価格に影響を及ぼす可能性が高く、社会全体からの関心も高まっているといえるでしょう。
編集者としての私の意見ですが、資源価格の高騰は需要と供給のバランス、そして国際情勢によって常に変動する宿命にあります。今回は中国国内の相場高騰という特殊な事情が影響していますが、日本企業はこのような変動リスクを常に念頭に置き、調達先の多角化や在庫管理の最適化といったリスクヘッジ戦略を一層強化すべきだと考えます。目先の価格交渉での妥協点を探りつつも、中長期的な視点での安定調達に向けた戦略立案が、今こそ必要とされているのではないでしょうか。この「アルミプレミアム」の動向は、今後も日本の製造業の収益構造に大きな影響を与える重要テーマとして、引き続き注目していくべきでしょう。
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