2019年6月7日、ミステリー文学界を揺るがすニュースが飛び込んできました。講談社は、前日の6月6日に発表したばかりの「第65回江戸川乱歩賞」の受賞作タイトルを緊急訂正したのです。栄えある受賞に輝いたのは神護かずみさんの作品ですが、当初「NOIRを纏った彼女」と発表されていたタイトルが、正式には「NOIRを纏う彼女」に変更されました。主催が日本推理作家協会、後援が講談社という権威ある賞での発表直後の訂正は、非常に異例のできごとと言えるでしょう。
この一件は、SNSを中心にすぐに話題となり、「タイトルミスなんて珍しい」「受賞作への注目度がさらに高まった」など、大きな反響を呼びました。特にタイトルに含まれる「NOIR(ノワール)」という言葉は、フランス語で「黒」を意味し、転じて犯罪や裏社会を題材としたハードボイルドなミステリー作品を指す専門用語(ジャンル)として使われます。このジャンルが好きな読者からは、タイトルの一文字変更に込められたニュアンスの違いを巡って、活発な議論が交わされたようです。「纏った」が過去形であるのに対し、「纏う」は現在・進行形を意味しますので、主人公の存在感や物語の動的な展開をより強く示唆する表現に変わったのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、この一文字の変更は、作品の持つ雰囲気をより洗練されたものに高めたと感じています。「纏った」という表現は静的で完成された美しさを示唆しますが、「纏う」は今まさにその属性を身にまとい、行動している主人公の姿、つまり物語が進行している躍動感をより鮮やかに描き出しているように思えるからです。この変更によって、神護かずみさんのデビュー作に対する期待値は、さらに高まったことでしょう。読者としては、一刻も早く、この正しく訂正されたタイトルが示すノワールミステリーの世界に触れてみたいと願うばかりです。
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