2019年6月7日、厚生労働省が公表した2018年の人口動態統計は、長野県にとって明るいニュースをもたらしました。長野県の合計特殊出生率は1.57となり、前年と比べ0.01ポイントの上昇を記録したのです。これは2年ぶりの上昇であり、全国平均の1.42を大きく上回る水準だといえるでしょう。都道府県別の順位でも、長野県は全国で12番目に高いという結果を残しており、その「子育てしやすい」環境が改めて注目を集めている様子がうかがえます。
専門用語である合計特殊出生率とは、一人の女性が一生の間に産む子どもの平均人数を示す指標で、少子化の進行度を測る上で非常に重要です。長野県内でのこの数字の上昇は喜ばしいことですが、手放しで喜べる状況とは言い切れません。なぜなら、同じ統計で示された出生数は、前年比2%減の1万4,184人にとどまっているからです。この背景には、出産可能年齢にある女性の人口が減少していることが影響していると考えられ、県を挙げての対策は喫緊の課題といえます。
長野県民の初婚年齢に関するデータも興味深い結果を示しています。男性の平均初婚年齢は31.3歳、女性は29.4歳でした。女性は全国平均とほぼ同水準ですが、男性は全国平均より高い傾向にあります。晩婚化の傾向は全国的な現象ではありますが、長野県が目指す「子育て支援」と「若者の定住促進」を考える上で、この初婚年齢のデータも重要な要素となってくるでしょう。
長野県は、2022年までに合計特殊出生率を1.76まで引き上げるという野心的な目標を掲げています。今回の出生率の上昇は目標達成に向けた一歩ですが、出生数の減少という現実を踏まえ、県の次世代サポート課は「出生率は上がったものの、出生数は減っているため、より一層、効果的な少子化対策を進めていく必要がある」と気を引き締めています。この発言は、現状を冷静に見つめ、さらなる施策の必要性を認識している表れだと私は考えます。
県や県内の市町村は、こうした状況を打開するため、様々な独自の取り組みを始めています。特に注目されるのは、2019年4月に導入された、多子世帯応援プレミアムパスポート制度の優遇拡充です。これは、18歳以下の子どもが3人以上いる世帯に発行されるパスポートを提示することで、運動場など一部公共施設の利用料が優遇されるという画期的な仕組みです。こうした経済的な支援策は、子育て世帯の負担を軽減し、多子世帯を応援するメッセージとして、SNS上でも「利用したい」「ありがたい」といった好意的な反響が見受けられます。
私見を述べさせていただきますと、長野県の今回の出生率上昇は、これまでの地道な子育て支援策が少しずつ実を結び始めている証拠ではないでしょうか。しかし、目標達成のためには、さらに多様なニーズに応える支援策を展開し、若い世代が安心して子を産み育てられる環境を、県全体で創り上げていくことが不可欠でしょう。今回の結果を一過性のものにせず、持続的な上昇につなげるための県の本気度が、今後問われていくことになると予想されます。
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