いよいよ2019年6月8日、注目を集める20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が福岡市で華々しく開幕します。これは、市が力を入れて推進してきたMICE(マイス)と呼ばれる国際会議や展示会などの誘致活動が、まさに実を結んだ形と言えるでしょう。MICEとは、Meeting(会議・研修)、Incentive Travel(報奨・招待旅行)、Convention(大会・学会)、Exhibition/Event(展示会・イベント)の頭文字を組み合わせた造語で、多くの参加者が見込めるため、都市の経済効果を高める起爆剤として、世界中の都市が誘致に力を入れています。
しかし、このビッグイベントの開催は、福岡市が抱える「収容能力の限界」という喫緊の課題も浮き彫りにしています。G20開催前日の6月7日、会場となる「ヒルトン福岡シーホーク」の周辺は、テロを警戒する厳重な警備が敷かれ、緊張感に包まれていたようです。
この国際的な舞台を最大限に活用しようと、福岡市は海外メディアを「博多旧市街」に位置する承天寺(じょうてんじ)に招き、地元のグルメや伝統工芸を世界に発信するイベントを開催しました。これは、会議参加者だけでなく、世界中の視聴者を魅了し、将来的な観光誘客へつなげようとする、戦略的な一手でしょう。SNS上では「G20開催で福岡の食が世界に広がるのは楽しみ!」「博多の魅力を世界に発信できる絶好の機会だ」といった、期待感あふれる声が多く見受けられます。
本会議には約1500人の参加が予定されており、主要な議題としては、仮想通貨のマネーロンダリング(資金洗浄)対策や、激化する米中貿易摩擦による景気失速リスクなどが議論される見通しです。特にマネーロンダリングとは、犯罪などで得た資金の出所や所有者を分からなくするために、送金や取引を繰り返して資金を洗浄することであり、国際的な対策が急務とされています。
実は福岡市は、当初、このG20の首脳会議の誘致を目指していました。高島宗一郎市長は「都市のプレゼンス向上につながる」と、2017年の段階で強い意欲を示していましたが、大型ホテルの不足などがネックとなり、惜しくも大阪市に競り負けてしまったのです。しかし、市は諦めずに誘致計画を再提出するなど粘りを見せ、結果として今回の財務相・中央銀行総裁会議の開催へと繋げることができたのであり、その粘り強さには感服するばかりでございます。
📈 なぜ福岡はMICE誘致に全力を注ぐのか?経済成長へのカギ
福岡市がこれほどまでにMICE誘致に力を注ぐ背景には、市の経済構造が深く関わっています。市内総生産のうち、小売業や飲食業などのサービス業が9割を占めている現状があるからです。市経済観光文化局の冨田浩次課長が述べるように、「訪れる人が増えないと市の成長もない」のであり、一度の開催で多くの参加者が見込めるMICEは、まさに経済成長の特効薬と期待されているのでしょう。
誘致活動を担っているのは、官民連携で設立された「福岡観光コンベンションビューロー」です。この組織の大きな強みは、顧客の要望を一元的に取りまとめて調整する「ワンストップ窓口」機能を備えている点にあります。この迅速かつきめ細やかな対応力が、国内外の競合都市に対する大きなアドバンテージとなり、その取り組みが功を奏して、福岡市における国際会議の開催件数は、2016年まで8年連続で東京に次ぐ全国第2位という実績を誇っていたのです。
2017年には、大学での小規模な会議が減少した影響で296件の4位に順位を下げてしまいましたが、1000人規模の大規模会議の開催は依然として堅調に増加しています。これは、福岡市が大規模な国際イベントを開催する都市として、確かな評価を得ている証拠だと考えられます。私自身の意見としましては、この官民一体となった推進体制こそが、福岡の躍進の最大の原動力になっていると言えるでしょう。
🏗️ 機会損失は最大165億円! ウォーターフロント地区再整備で収容能力を大増強へ
一方で、大規模な会議が増えたことによって、施設不足による開催辞退のケースも増加しています。昨年はなんと年間約90件もの開催打診を断らざるを得ず、その機会損失は最大165億円にも上ると推算されています。この状況を打開するため、福岡市は緊急で収容能力の拡充を急いでいる最中です。
その中心となるのが、マリンメッセ福岡、福岡国際センター、福岡国際会議場、そして福岡サンパレスの4施設が立地するウォーターフロント(WF)地区の再整備計画です。まず、2021年春には、マリンメッセの南隣に第2期展示場(敷地面積5,000平方メートル)を開業させる計画です。さらに続いて、西隣にはサンパレスの後継となる「WFホール(仮称)」を建設する予定だといいます。
市経済観光文化局の大道寺崇課長は、「施設のバリエーションをそろえ、対応の幅を広げる」と、マリンメッセと新施設を一体的に運用していく考えを示されています。また、民間企業もこの高まる需要を取り込もうと、積極的な動きを見せています。西日本鉄道は、2021年までに、民間運営の施設としては西日本最大規模となる国際展示場を市内に建設することを決定しました。
この新施設は4階建てで、延べ床面積1万8,000平方メートルを誇り、3,000平方メートルのホールを2つと15の会議室を備える計画です。福岡空港と博多駅のほぼ中間に位置するという、最高の立地の良さを生かし、年間数千件のイベント開催を目指しています。倉富純男社長は、「場所不足などでできなかったイベントなどの需要を掘り起こしたい」と強い意気込みを語っており、官民一体となったこの大規模なインフラ整備が、福岡市のMICE誘致にさらなる弾みをつけることは間違いありません。
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