日本の物流を支える巨人の一人、セイノーホールディングスが2019年08月09日に発表した最新の連結決算は、業界の今を象徴する極めて興味深い内容となりました。2019年04月01日から2019年06月30日までの3ヶ月間における最終的な利益は、前年の同じ時期と比べて24%も減少する45億円にとどまっています。売上自体は伸びているものの、利益が削られるという「増収減益」の構図が鮮明になりました。
今回の決算において最大の鍵を握っているのは、私たちが日常的に耳にする「運賃の値上げ」と「コストの増加」のバランスです。物流業界全体で進められている配送価格の適正化は、セイノーHDにおいても着実に収益を押し上げる効果を発揮しました。しかし、それを上回る勢いで膨らんでいるのが、現場を支えるドライバーの確保に向けた人件費や、外部の協力会社に業務を委託する際の外注費といった、事業運営に欠かせない経費の数々です。
主力である輸送事業の動きに注目すると、2019年06月には千葉県に成田支店を新設し、ネットワークの利便性を一段と高める戦略に打って出ました。この攻めの姿勢が功を奏し、売上高は前年を1%上回っています。しかし、ここでも現場の負担増が重くのしかかり、営業利益ベースでは11%のマイナスを記録しました。営業利益とは、本業で稼ぎ出した純粋な利益のことであり、企業の基礎体力を示す重要な指標ですが、現在は先行投資の時期にあると言えるでしょう。
SNS上では、この決算に対して「人手不足の影響がこれほどまで数字に表れるのか」といった驚きの声や、「ドライバーの待遇が良くなるためのコストなら、値上げは致し方ない」という応援のコメントも散見されます。消費者の間でも、物流を維持するためには相応の負担が必要であるという認識が広がりつつあるようです。厳しい数字が出た一方で、現場の労働環境改善が避けられない課題であるという現実を、改めて社会に突きつけた格好となりました。
編集部としての視点では、この減益は決して悲観すべきものではないと考えています。なぜなら、セイノーHDは2020年03月期の通期見通しを一切下方修正しておらず、むしろ過去最高となる310億円の純利益を見込んでいるからです。現在は、将来の飛躍に向けた「産みの苦しみ」の真っ只中にあるのではないでしょうか。デジタル化による効率化や、さらなる拠点整備が進むことで、下期からの劇的な巻き返しに期待が高まります。
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