日本国内の小売・外食業界において、長らく続いた店舗数の増加傾向が反転し、減少に転じている状況が明らかになりました。コンビニエンスストアやスーパーマーケットといった主要な業界団体の集計によると、直近の店舗総数は約11万8,000店弱となり、2018年末と比較して約1パーセント減少しています。この変化の背景には、国内の人口減少による需要の縮小と、インターネットを通じた商取引である**電子商取引(EC)**の急速な普及が複合的に影響していると考えられています。
経済産業省の調査でも、個人経営の店舗を含む小売業全体の総店舗数は、2014年から2016年にかけて約4パーセント弱減少しており、小規模な店舗から始まった閉店の波が、ついに業界団体に名を連ねるような大手企業にも広がってきた構図が浮き彫りになっています。店舗数の増加こそが収益拡大に直結するという、これまでの「20世紀型の事業モデル」は、抜本的な見直しを迫られていると言えるでしょう。
特に打撃が大きいのは外食産業です。外食業界は2.4パーセントの減少となり、これは3年ぶりの減少を記録しました。また、百貨店は1.8パーセント減で、こちらは実に11年連続の落ち込みとなっています。スーパーマーケットも0.3パーセント減少しており、減少に歯止めがかかりません。一方で、コンビニエンスストアは0.1パーセントの微増、ユニクロやニトリといった大手4社も0.6パーセントの増加に留まり、全体の減少傾向を補いきれていません。
この状況に対し、不採算店の閉鎖が相次ぎ、会計上の処理である減損損失(げんそんそんしつ:資産の収益性が低下し、投資額を回収できないと見込まれる場合に、その資産の帳簿価格を減額して損失を計上すること)を計上する企業が増加しています。例えば、大手流通グループのイオンは、総合スーパーの不振などにより、2019年2月期に計上した減損損失が前期比で3割増の627億円に膨らみました。小売り・外食産業が多い2月期決算企業全体では、前期に約2,600億円もの減損損失が発生しています。
ファミリーマートの沢田貴司社長は、「小売業界全体がオーバーストア状態にある」と現状を指摘しており、同社は2019年2月期まで2期連続で不採算店を中心に店舗を減らす対応を続けています。また、セブンーイレブン・ジャパンも今期の店舗純増数を約40年ぶりの少なさとなる150店に抑える計画です。外食大手のモスフードサービスでも、今期「モスバーガー」の国内店舗数を1,307店と、1パーセント減らす計画を打ち出しています。
この流れは、EC化率(ECが小売売上全体に占める割合)が10パーセント強と日本より高い米国で、さらに大規模に進行しています。調査会社コアサイト・リサーチによると、米国では2019年6月上旬までに閉鎖された小売店舗数が7,222店に達し、これは2018年通年(5,864店)を既に上回る勢いです。さらに、金融大手のUBSは、2026年までに米国全体で7万5,000店の小売店舗が閉鎖され、特に打撃の大きい衣料品店では現在の約17パーセントにあたる2万1,000店が姿を消すと予測しています。
現時点では日本のEC化率は6パーセントに留まっていますが、今後さらに高まると見られており、これに日本の深刻な人口減少による影響も加わることで、米国以上の大きな変革が小売業界に生じる可能性があります。実店舗の価値が相対的に低下する中で、各企業は店舗の数や役割をインターネット時代に合わせて見直し、事業モデルの再構築を急ぐ必要に迫られています。米国では、かつての大手百貨店シアーズが破綻した一方で、ウォルマートが既存の店舗を配送拠点に改装するなど、優勝劣敗が鮮明になっている状況です。
ネット時代における店舗の新しい役割とは
こうした急速な変化は、小売業界の健全化を促す側面がある一方で、社会全体への影響も懸念されます。実店舗の減少がこのまま続けば、特に地方や郊外で、身近にスーパーマーケットなどが見当たらず生活必需品の購入に困難を抱える「買い物難民」が増加する恐れがあります。この問題に対処するため、都市部の利便性を高める「コンパクトシティ」の推進など、行政レベルでの対応も必要になってくるでしょう。
店舗が単に商品を陳列する場所ではなくなる時代において、私たちが編集者として感じるのは、実店舗は今後、ECでは体験できない「顧客体験の場」や「ブランドを体現する場所」へとその役割を大きく変えていくべきだという点です。試着や専門的なアドバイス、地域コミュニティとの接点など、ネットとリアルの融合(OMO)を進め、店舗でしか得られない付加価値を創造できる企業こそが、この厳しい競争を生き残っていくのではないでしょうか。
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