2019年08月14日現在、南米の経済圏が歴史的な転換点を迎えています。ブラジルやアルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの4カ国で構成される「メルコスル(南米南部共同市場)」が、欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)に合意し、世界的な貿易ネットワークの拡大へ舵を切りました。メルコスルはEUだけでなく、カナダや韓国、シンガポールとも交渉を加速させており、まさに自由貿易の波が南米大陸に押し寄せている状況と言えるでしょう。
ここで「FTA(自由貿易協定)」という言葉について解説します。これは、特定の国や地域の間で、関税(輸入品にかかる税金)や輸出入の制限を減らしたり、なくしたりする約束のことです。この協定が結ばれると、加盟国同士の商品のやり取りが非常にスムーズになり、ビジネスが活発になります。しかし、枠組みの外にいる国にとっては、自国の製品にだけ高い関税がかかり続けるため、価格競争で不利になってしまうという側面も持っているのです。
日本企業が抱く焦りと「取り残される」恐怖
こうした急激な変化の中、南米に進出している日本企業の間では、かつてないほどの緊張感が漂っています。なぜなら、EUや韓国がメルコスルと自由貿易の約束を交わして関税が撤廃される一方で、日本だけが取り残されれば、市場での競争力に決定的な差が生まれてしまうからです。特に自動車や設備機器といった製造業への打撃は計り知れず、現地の幹部からは「このままでは商機を失う」という悲痛な叫びも漏れ伝わってきています。
SNS上でも、この事態に対して多くの関心が寄せられています。「日本車が南米で高嶺の花になってしまう」「欧州勢に市場を奪われるのは時間の問題だ」といった不安の声が目立ちます。また、「政府は一体何をしているのか」「早く経済連携を進めてほしい」といった、日本政府の対応の遅さを指摘する投稿も散見されました。民間企業がどれほど努力しても、国家間のルールでハンデを背負わされては、勝ち目のない戦いを強いられることになりかねません。
現在、日本の経済団体連合会(経団連)やブラジル全国工業連盟(CNI)は、日本政府に対して「EPA(経済連携協定)」の交渉開始を強く求めています。EPAとは、先ほどのFTAをさらに進化させたもので、関税だけでなく、投資のルールや知的財産の保護、人の移動など、より幅広い分野で協力し合う仕組みです。これがあれば、日本企業もEUや韓国と同じ土俵で戦うことができるようになりますが、現時点では交渉の進展は非常に緩やかと言わざるを得ません。
追い風となるか?安倍首相とボルソナロ大統領の会談
明るい兆しがないわけではありません。日本の外交筋によれば、2019年07月に行われた参議院選挙が無事に終了したことで、日本政府がようやく腰を据えて外交交渉に動ける環境が整ったとの見方が出ています。政治的な空白期間が過ぎ、対外的な経済戦略をアップデートする準備が整いつつあるようです。内政の安定は、こうした大規模な国際協定を推進する上で欠かせない要素であり、今後のスピード感ある決断が期待されるところです。
さらに注目すべきは、ブラジルのボルソナロ大統領の動向です。彼は日本との経済的な結びつきを非常に重視しており、2019年内に予定されている安倍晋三首相との首脳会談において、EPAの交渉開始を正式に提案するのではないかと囁かれています。ボルソナロ政権は開放的な経済政策を掲げているため、日本にとってはこれ以上ない絶好のチャンスが巡ってきていると言っても過言ではないはずです。
私は、この南米との経済連携こそが、日本経済の未来を左右する極めて重要な「一手」になると確信しています。グローバル化が進む現代において、特定の地域が巨大な自由貿易圏を形成する動きは今後も止まらないでしょう。もし日本がここで二の足を踏んでしまえば、南米という広大な市場におけるプレゼンスを完全に失ってしまう恐れがあります。企業努力を後押しするためにも、政府には戦略的かつ迅速な外交交渉を強く望みたいところです。
2019年08月14日のニュースは、私たちに世界経済のルールが書き換わろうとしている現実を突きつけました。日本企業が培ってきた技術や信頼を守るためには、制度面でのサポートが不可欠です。年末に向けて予定されている首脳同士の対話が、冷え込みかけていた日本の通商政策に熱を吹き込み、新たな時代の幕開けとなることを願ってやみません。今後の政府の動向から、一時も目が離せない日々が続きそうです。
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