📱**【MaaS最前線】トヨタ・西鉄「マイルート」が変える福岡の移動体験と未来の街づくり**🏙️

次世代の移動サービスとして世界的に注目を集めているMaaS(マース)。これは「Mobility as a Service」の略で、マイカー以外の様々な移動手段、例えば電車、バス、タクシー、シェアサイクルなどを一つのサービスとしてシームレスに結びつけ、検索、予約、決済までを一括で行えるようにする仕組みを指します。このMaaSを巡る具体的な動きが、ここ日本の福岡市で大きな注目を集めています。自動車大手のトヨタ自動車と、九州の公共交通を担う西日本鉄道(西鉄)が共同で実証実験を進めているスマートフォンアプリ「マイルート」は、まさにその最前線と言えるでしょう。

「マイルート」の優れた点は、交通機関の利用者に単なるルート検索以上の価値を提供していることです。記者が実際にこのアプリを使って福岡市内での移動を試みたところ、従来の慣れた経路とは異なる意外なルートが、結果として最も快適で最適な移動手段となることを発見しました。このアプリは、利用者の移動習慣に変化をもたらし、その先に街づくりそのものを変革する可能性を秘めていると考えられます。SNS上では「いつもは使わないルートを教えてくれて助かった」「料金が事前にわかるから安心」といった好意的な反響が見られ、新しい移動体験への期待の高さがうかがえます。

トヨタが約2年をかけて世界約1800都市の交通事情を調査し、そのうち10都市を実地で検証して開発した「マイルート」。この実験の地に福岡が選ばれた背景には、九州最大の人口約158万人という規模感と、西鉄がバス網を中心に公共交通の大部分を担うという特徴的な構造があったからだそうです。西鉄のまちづくり推進部 緒方伸州課長は、移動総量の増加と街の活性化を目指すトヨタの理念に共感し、連携が実現したと語っています。西鉄以外の交通手段もトヨタがまとめ上げアプリに統合した結果、その検索機能はフィンランド発の先進的なMaaSアプリ「Whim(ウィム)」にも匹敵するマルチモーダル、すなわち複数の移動手段を組み合わせた提案を実現しています。

「マイルート」は2019年2月末にはダウンロード数が約1万5千強でしたが、同年5月末には2万件に達するなど、3カ月間で約3割増加という好調な伸びを見せています。利用者アンケートでは約7割が「満足」と回答しており、その評価は非常に高いと言えるでしょう。記者は2019年6月初旬の週末に、観光客に人気の能古島にある「のこのしまアイランドパーク」を目的地に設定し、天神から午後3時過ぎに出発してみました。アプリで検索すると複数の経路が表示されますが、タクシーは料金が高すぎるため除外し、選んだのは料金が安く乗り換えも少ないバス経由のルートでした。具体的には、天神からバスで姪浜港へ行き、フェリーで島へ渡り、再度バスで公園へ向かうという道のりです。

このルートは待ち時間を含めても所要時間はおよそ1時間半で済み、初めての経路にもかかわらずスムーズに現地に到着できました。注目すべきは、アプリ画面に表示される片道の合計料金830円という情報です。ルート選びの判断材料となるだけでなく、事前に料金が把握できることは利用者にとって大きな安心感につながります。当初、記者が想定していた地下鉄とフェリーを乗り継ぐルートは、地下鉄の姪浜駅から港まで徒歩で約30分近くかかるため、「マイルート」の検索結果からは外されていました。この体験は、普段地下鉄を多用する記者にとって、バスの利便性を再認識させてくれるきっかけとなりました。

実際にトヨタなどが実施した利用者アンケートでは、52.7%の利用者が「いつもと違うルートや普段利用しない移動手段を使った」と回答しています。これは「マイルート」が、ユーザーの移動の選択肢を大きく広げ、単なる慣れによる非効率な移動から、データに基づいた最適な移動へと誘導している証拠だと言えるでしょう。また、このアプリは自動車系の移動手段との連携も強化されています。ルート検索結果にタクシーが表示されるのはもちろんのこと、提携するジャパンタクシーの配車サービス対応車両であれば、アプリ上で乗車位置の指定から支払いまで完了できます。

さらに、トヨタグループのレンタカーもルート検索の対象に含まれており、最寄りの営業所への案内もスムーズです。レンタカー利用時の懸念点である駐車場についても、付近の情報を地図上で確認でき、予約まで円滑に行えるため、現地で駐車場を探して迷う心配がありません。また、メルカリが運営するシェアサイクルサービス「メルチャリ」もルート検索の対象です。比較的平坦な地形が多い福岡であれば、自転車での街巡りも容易でしょう。利用者調査では、「思いがけない店・場所が発見できた」「行ってみたいお店、場所が増えた」といった回答がそれぞれ約15%ほど寄せられており、最短時間ではない「便利さ」を基準に経路が選ばれる可能性も示唆しています。

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マイルートが推進する「移動の最適化」と渋滞緩和への期待

現時点では、移動手段によっては別のアプリやウェブサイトでの予約・決済が必要な場合もあり、操作性の面で改善の余地は残されています。しかし、「マイルート」が利用者に提供する移動の選択肢が劇的に増えていることは間違いありません。西鉄の緒方課長が「移動自体が最適化される」と期待するように、この変化は都市交通全体に大きな影響を与えそうです。福岡市は公共交通が充実している都市ではありますが、東京圏や関西の都市部に比べると自動車の利用率が高く、2005年の調査では移動の約4割強を占めていました。その結果、中心部ではバス路線が集中することも相まって、交通渋滞が発生しやすい状況にあります。

「マイルート」の普及によって、自動車以外の移動手段が積極的に選ばれるようになれば、交通渋滞の緩和に大きく貢献するでしょう。また、アプリの利用履歴という貴重なデータを活用することで、ニーズに基づいた移動手段の提供見直しや、バスの運行ルートの最適化といった施策も可能になります。さらに、このアプリは移動の誘導策にも利用されました。2019年2月から3月にかけて、福岡の中心地である天神や博多を目的地に経路検索をした利用者に対し、中心部から2〜3キロメートル離れたルート上の駐車場を予約すれば駐車料金を50%割り引くクーポンを配信したのです。

これは、マイカーを途中まで利用し、そこから公共交通機関に乗り換えるパーク・アンド・ライドを促進する狙いがありました。中心部へのクルマの流入を抑えたい福岡市の政策とも合致するものです。西鉄は不動産開発も手掛けており、「街と交通網の横の連携を強めたい」という緒方課長が語るように、アプリによるソフト面での移動の最適化だけでなく、最適化された移動を前提としたハード面での街づくりも視野に入れています。公共交通の利用が見直され、街中の駐車場の必要数が減少すれば、その不動産を新たな形で利活用することも可能になるでしょう。この「マイルート」が示すMaaSの進展は、福岡という都市の姿を根本から変え、市民生活をより豊かにする可能性を秘めていると言えるでしょう。

この動きは、あらゆるモノや機能がサービスとして提供される「XaaS(ザース)」と呼ばれる時代の到来を予測させます。XaaSとは「Anything as a Service」の略で、今回のMaaSのように、モノの所有からサービスとしての利用へと価値観が移行していく流れを指す専門用語です。MaaSはその代表的な事例であり、「マイルート」の成功は、交通インフラがサービスとして提供されることで、街の活性化や環境問題の解決にもつながるという、大きな衝撃を私たちに与えてくれるに違いありません。

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