東京都多摩エリアを中心に企業のポテンシャルを引き出す活動を続けている首都圏産業活性化協会(TAMA協会)が、中小企業の新たな武器となる「無形資産」の活用支援に乗り出しました。2019年08月14日、同協会は企業が持つ独自のノウハウやブランド力、さらには知的財産権といった目に見えない強みを、具体的な新事業へ結びつけるための画期的な指針を発表しています。地元の自治体や専門家とタッグを組み、企業の「真の価値」を再発見する取り組みが本格化する見通しです。
今回の支援策で中心的な役割を果たすのが、内閣府が提唱する「経営デザインシート」というツールになります。これは、企業がこれまで培ってきた技術や信頼、人脈といった形のない財産を整理し、それらが将来的にどのようなビジネスモデルを生み出すのかを一枚の図にまとめる思考フレームワークです。SNS上では「自社の強みを客観的に整理できる」「進むべき道が明確になる」といった期待の声が上がっており、経営の羅針盤として注目を集めていることが伺えます。
無形資産を利益に変える「経営デザインシート」の魔法
そもそも「無形資産」とは、財務諸表には表れない職人の熟練技術や顧客との深い信頼関係、特許、独自のブランドイメージなどを指す専門用語です。例えば、理美容業界向けのハサミを製造するメーカーを想定してみましょう。この企業には長年培った「刃物の研磨技術」や、協力会社が持つ「鍛造(たんぞう)技術」という素晴らしい資産があります。これらを組み合わせることで、ベテラン理容師も唸る鋭い切れ味の製品が生まれ、現在の収益を支えていることがシートによって可視化されます。
さらにこのシートが真価を発揮するのは、未来の構想を描く段階においてです。前述のハサミメーカーであれば、自慢の研磨技術を応用して「ネイリスト向けの高級爪切り」という新市場へ進出するシナリオを描くことができます。自社のコアとなる価値を正しく理解していれば、既存の枠組みにとらわれない新しいビジネスモデルの構築もスムーズに進むはずです。私個人の見解としても、変化の激しい現代において、自社の「不変の強み」を定義し直す作業は、生き残りのための必須条件だと考えます。
TAMA協会は2019年07月に、埼玉県や東京都青梅市、町田市など11の自治体の担当者や専門家約30名を対象としたセミナーを開催し、着々と普及の土壌を整えてきました。この動きを加速させるため、2019年08月29日には相模原市で、続く2019年09月13日には東京都羽村市において、経営者や幹部を対象とした実践的なセミナーが予定されています。各会場40名の定員となっており、実際にシートを作成しながら自社の将来像を肉付けしていく貴重な機会となるでしょう。
単なる座学で終わらせないのが、今回の支援プログラムの素晴らしい点だと言えるでしょう。セミナー参加企業の中から意欲的な12社を厳選し、協会の専門指導員が直接現場へ派遣される仕組みが整っています。プロの視点による個別指導を受けることで、シートに描いた構想を絵に描いた餅で終わらせず、具体的な新製品開発やサービス展開へと昇華させることが可能です。地域全体で中小企業のイノベーションを後押しするこの取り組みは、日本の産業界に新たな風を吹き込むに違いありません。
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