2019年6月1日、来春に大学・大学院を卒業する学生を対象とした経団連加盟企業の面接選考がついに解禁となりました。しかしながら、この「6月1日解禁」という長らく日本の就職活動を象徴してきた経団連ルールは、今年でその役目を終えることになります。現在は深刻な人手不足が続き、一般には「売り手市場」といわれていますが、そんな環境下でも学生の皆さんは複雑な心境を抱えている様子です。ある関西の私立大学のキャリアセンター職員の方のお話では、「売り手市場だからこそ、かえってプレッシャーを感じてしまう学生もいる」との実態があるとのことです。数社に挑戦しても内定が得られないと、「これだけ有利な市場なのに、なぜ自分は駄目なのか」と深く落ち込んでしまう学生さんもいるといいます。
長年続いた就職活動のルールが変わりゆく中、経団連と大学側は今年の4月に通年採用の推進で合意しました。通年採用とは、企業が特定の時期に限定せず、一年を通して採用活動を行うことを指します。これは、従来の卒業時期に合わせた「新卒一括採用」とは対照的な動きです。通年採用の企業が増加することで、就職戦線は一体どのように変化するのでしょうか。学生さんにとっては、確かに企業への挑戦の機会が増えるため、歓迎すべき変化のように見えます。しかし、これに対しては懸念の声も上がっているのが現状です。
別の関西私立大学の教授は、「新卒一括採用というシステムがあったからこそ、何とか就職できていた学生も多い。通年採用に移行したら大変な状況になるだろう」と指摘しています。新卒一括採用では、企業が学生の潜在能力や将来性を買って一律で採用する側面が強かったため、比較的多くの学生に門戸が開かれていました。しかし、通年採用が本格化すれば、企業は今まで以上に海外留学経験者や長期インターンシップを経験した学生の採用に注力する可能性が高いでしょう。
長期インターンシップとは、学生が企業で数週間から数ヶ月にわたり、実際の業務を体験する仕組みを指します。企業側から見ると、学生の適性や専門性をじっくりと吟味できるため、採用のミスマッチを防ぐ有効な手段となるのです。企業がより学生のスキルや経験を重視するようになれば、一般的な学生にとって就職活動のハードルは高くなるのかもしれません。この変化をSNSなどでも見てみると、「チャンスが増える反面、準備ができていない学生には厳しい時代になる」「留学やインターン経験がないと不利になるのでは」といった声が多数見受けられ、学生の間で不安が広がっていることが分かります。
私自身の意見としては、挑戦の機会は多ければ多いほど良いと考えています。なぜなら、一発勝負で再挑戦の機会が少ない社会は、非常に息苦しいものだからです。筆者が大学を卒業した頃、既卒者を選考対象にしていたのはマスコミ業界などごく一部に限られていたと記憶しています。しかし、今後は海外の大学を秋に卒業した方や、一度卒業した既卒者などに対しても、もっと門戸を広げていくべきでしょう。通年採用という新しい流れは、学生が自分の能力やタイミングに合わせて就職活動を行うことを可能にし、多様な人材が社会で活躍するための大きな一歩になると信じています。この大きな変化を、前向きな挑戦の機会として捉えていただきたいものです。
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