「外資系企業」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。多くの人が、コンサルティング会社や投資銀行といった「頭脳集団」をイメージするかもしれません。しかし、中澤一雄氏が著書『外資の流儀』(講談社、税別880円)で描くのは、米国文化とともに日本に入ってきた外食や物販といった、人手が不可欠な産業での45年にわたる会社員生活です。彼が新卒で入社したのは、東京・銀座に1号店がオープンして間もない日本マクドナルド。その後も日本ケンタッキー・フライド・チキンやウォルト・ディズニー・ジャパンなど、一貫して外資の現場でキャリアを築いてきました。このような「人手がかさむ」産業だからこそ、その根底にあるのは徹底した生産性への意識であり、人口減少が進むこれからの日本企業にとって、極めて欠かせない視点となるでしょう。
中澤氏が外資流として紹介する8つの方程式、例えば「職位別の職務内容と仕事の領域の確定」や「期末の成果重視による人事評価」などは、他のビジネス書でも語られるテーマかもしれません。しかし、本書の真の面白さは、そこに散見される日本企業への鋭い視線にあります。特に興味深いのは、**「日本企業には社員数という考え方がない」**という指摘です。外資では米国の本社から事業規模に見合った人員数を指示されるのに対し、日本企業では明確なロジックがないまま人員が膨らみがちであると示唆しています。
また、日本企業の「窓際族」についても言及されています。窓際族と呼ばれる社員は、モチベーションと能力の両方が極めて低いわけではなく、むしろ**「配置の問題」であると述べています。これは、社員一人ひとりの能力を活かしきれていない、日本企業の組織運営の課題を浮き彫りにしています。さらに、日本企業の根深い問題として、「従業員を安い給料で長時間働かせるマインド」**が染みついているように見えるという、耳の痛い意見も呈されています。これは、外食・物販といった業態を超え、人を「いかに効率よく、意欲的に働かせるか」という外資系の共通のカルチャーに通じるものです。
この書籍は、2019年6月12日に記事化された時点でも、すでに「働き方」に対する強い関心を集めていたことが伺えます。実際に、SNSでは「頭脳集団の外資とは違う視点が新鮮」「日本の長時間労働マインドへの指摘は胸に刺さる」といった反響が多く見られました。特に、著者が経験した外食・物販という身近な業態での「生産性重視」の思想に、多くの読者が共感を示しているようです。私の意見としては、外資系の流儀が示す「仕事の明確化」と「成果による評価」は、感情論ではなく、持続可能な組織運営のために日本企業が真剣に向き合うべきテーマだと考えます。社員の能力を最大限に引き出し、全員が前向きに働くためのヒントが、この一冊には詰まっているに違いありません。
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