【白内障手術】後悔しないために知っておきたい!多焦点眼内レンズのメリットと「交換不可」の現実

2019年6月8日付の記事で、白内障手術後の「眼内レンズ」の選択と、その後のレンズ交換の難しさについて、秋葉原アイクリニックの赤星隆幸医師が警鐘を鳴らしています。白内障とは、目の中のレンズの役割を果たす「水晶体」が濁ってしまう病気で、視界がかすんだりぼやけたりします。この濁った水晶体を取り除く手術の際に、代わりに人工的なレンズである眼内レンズを移植するのが一般的です。このレンズの選択が、手術後の生活の質(QOL)を大きく左右すると言えるでしょう。

眼内レンズには、遠くか近く、どちらか一方にピントが合う「単焦点レンズ」と、遠くも近くも見えるように設計された「多焦点レンズ」の2種類が存在します。単焦点レンズを選んだ場合、手術後も特定の距離を見るために眼鏡が必要になりますが、多焦点レンズであれば、老眼の矯正も兼ねられるため、眼鏡から解放される可能性が高まるのが大きな魅力です。記事が公開された当時は、焦点が3つある新しいタイプの多焦点レンズも国内で認可され、「先進医療」の対象として認可施設での使用が可能となり、選択肢が広がった時期でもありました。

多焦点レンズは非常に魅力的な選択肢ですが、デメリットも存在します。光を複数の焦点に分散させるという特性上、夜間に車のヘッドライトや街灯の周りに光の輪が見える「ハロー・グレア」と呼ばれる現象が生じやすくなるのです。また、暗い場所では細かい文字が見づらくなる可能性もあります。手術前にこれらのリスクを十分理解し納得していても、実際に移植後に見え方の違和感からレンズの交換を希望される患者さんがいるというのが現実です。

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多焦点レンズは「夢のレンズ」ではない?後悔の声を避けるための真実

「多焦点レンズは、眼鏡なしの生活を実現する素晴らしい技術であり、私もその進化を歓迎しています。しかし、全ての方に完璧にフィットする万能なレンズではない、という冷静な認識を持つことが極めて重要です」と、筆者である私は考えます。特に多焦点レンズは、手術を受ける方のライフスタイルや性格、職業などによって向き不向きが分かれるデリケートな選択です。SNSなどでも、「眼鏡がいらなくなったのは本当に便利」という喜びの声がある一方で、「夜の運転がしづらくなった」「暗い場所での読書がつらい」といった、デメリットに関する率直な意見も散見されており、期待値が高すぎるゆえのギャップに悩む方もいらっしゃるようです。

眼内レンズは、直径わずか6ミリメートルほどの小さなレンズで、手術でできた2〜3ミリメートルの傷(切開創)から眼内に挿入されます。このレンズは、元々水晶体を包んでいた「カプセル」と呼ばれる薄い透明な袋の中に移植され、クモの巣のように非常に繊細な組織で眼内にしっかりと固定されるのです。技術的には、手術後1〜2週間以内という早い段階であれば、前のレンズを眼内で切断し、新しいレンズを再移植することは可能とされています。

「交換不可」を招く眼内レンズの強固な固定

しかし、手術から時間が経過してしまうと、状況は一変します。カプセルが眼内レンズをしっかりと包み込み、まるで真空パックされたかのように強固に固着してしまうからです。この状態から無理にレンズを摘出しようとすると、最悪の場合、眼内レンズを固定しているカプセル自体が破れて取れてしまい、新しい眼内レンズを再移植する土台がなくなってしまうリスクが生じます。また、再手術によって「角膜」という目の表面の透明な組織が濁ってしまうなどの合併症の可能性も否定できません。

さらに、苦労して再移植したとしても、2回目の手術では、初回の手術のようにレンズをカプセル内の理想的な位置にきれいに収めるのが難しくなり、微妙に位置がずれてしまうことがあります。その結果、患者さんが希望するような見え方、つまり、最初に思い描いていた「夢のような見え方」にならない可能性も高まります。多焦点レンズか単焦点レンズかにかかわらず、いったん移植された眼内レンズは「交換不能」なものとして、一生涯付き合っていくものだと心得ておくべきでしょう。

手術を受ける方は、どの多焦点レンズが自分に最適なのか、あるいはそもそも多焦点レンズが自分に適しているのかを、主治医と時間をかけて十分納得いくまで話し合い、慎重に選択することが極めて重要です。眼内レンズの選択は、単なる視力回復だけでなく、その後の人生を快適に送るための重要な決断であることを忘れないでください。

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