2019年6月9日、永田町の関心事となっていた夏の参院選と衆院選を同時に行う衆参同日選挙の実施が、見送られる方向でほぼ固まったとの報道がありました。この背景には、安倍政権が参議院選挙単独の戦いでも、与党が勝利を収められると判断したことが大きく影響しているようです。結果として、現在開会中の国会は6月26日の会期末を延長せず、参院選は**「7月4日公示、21日投開票」**の日程で実施される公算が極めて高くなっています。
この衆参同日選の見送りは、国民の生活に直結する重大な決定にも影響を及ぼしました。それは、消費税率10%への引き上げが予定通り10月に実施される見通しとなったことです。安倍晋三首相はこれまで、世界的な金融危機であるリーマン・ショックのような事態が発生しない限り、消費税率を予定通り引き上げると明言してきました。与党内の一部では、同日選の実施と同時に増税延期が発表されるのではないかとの観測も流れていましたが、同日選が見送られたことで、増税延期の可能性はほぼ消滅したといえるでしょう。
私の見解としては、政権が高い支持率を維持している状況で、あえて選挙日程を複雑化させたり、増税延期というカードを切ったりするリスクを避けた、極めて現実的かつ戦略的な判断だと評価できます。直近の日本経済新聞の世論調査でも、内閣支持率は55%という高水準を維持しており、政府・与党内にはこの支持率の底堅さが、同日選実施の観測を生む要因にもなっていました。
衆参同日選の可能性が薄れたことで、野党が今国会に内閣不信任決議案を提出するような事態になっても、与党が多数を占めているため、否決されることが確実視されています。これは政権運営の安定性を高めるものでしょう。首相自身も、8日に神奈川県茅ケ崎市のゴルフ場で記者団から解散の可能性について尋ねられた際、「風はどうか」という質問に対して、「気持ちのいいそよ風ですね。ほとんど無風ですけども」と答え、解散の可能性を遠回しに否定しています。
憲法改正への布石と今後の政局
今回の判断の裏側には、首相が目指す憲法改正の議論を加速させたいという戦略が見て取れます。現在、衆議院では、自民党や公明党などの与党に加え、憲法改正に賛同する勢力(改憲勢力と呼びます)が、憲法改正の発議に必要な3分の2以上の議席を占めています。首相は、今回の参院選で勝利を収め、衆議院の現有議席を維持することで、憲法改正に向けた議論に弾みをつけ、2020年の新憲法施行という目標達成へ前進したい考えなのでしょう。
また、政権は外交日程をフル活用し、国民への露出を増やしてきました。5月下旬にはトランプ米大統領が来日し、さらには今月28日から29日にかけては大阪で**20カ国・地域首脳会議(G20サミット)**が開催されます。このような重要な外交イベントが続くことで、首相のメディアへの露出が増え、支持率のさらなる上昇への期待も高まっているのです。加えて、野党側の衆院選に向けた準備が十分整っていない状況も、同日選実施を主張する声に拍車をかけていました。
SNS上での反響を見ても、「消費税増税はやはり避けられないのか」「増税前に何をすべきか」といった、国民の不安や生活防衛に関する声が目立っています。一方、「与党は単独で勝てる自信があるから同日選を避けたのだろう」「政権運営の安定化を優先した結果だ」といった、政局の動きを冷静に分析するコメントも多く見受けられました。今回の同日選見送りの決定は、今後の日本の政治と経済の行方を占う上で、非常に重要な分岐点となるでしょう。
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