日本が誇る調味料の巨頭、味の素が大きな勝負に出ました。2019年08月21日、同社はアメリカのオハイオ州に拠点を置く「モア・ザン・グルメ・ホールディングス」を買収すると発表したのです。現地時間の2019年08月20日に株式取得の契約が締結されており、取得額は約38億円にのぼります。米国の子会社を通じて過半数以上の株式を確保することで、北米でのさらなる躍進を狙っているのでしょう。
今回の買収相手であるモア・ザン社は、1993年の設立以来、プロ向けに特化した高品質な液体調味料を提供してきました。2018年12月期の売上高は約26億3000万円を記録しており、確かな実績を誇ります。彼らの得意分野は、肉や野菜をじっくり煮込んで作る「ブロス」と呼ばれるだし汁や、本格的なステーキソースです。食の専門家が監修する高付加価値な製品群が、同社の最大の強みだと言えるかもしれません。
ここで注目のワードである「ブロス」についても解説しておきましょう。これは西洋料理におけるスープやソースの基礎となるだし汁のことで、日本で言うところの「出汁(だし)」に近い存在です。アメリカの外食現場では、一から煮込む手間を省きつつ、一定のクオリティを維持できる液体状のベースが非常に重宝されています。粉末に比べて素材本来の風味が損なわれにくく、そのまま調理に使いやすい点が現場の支持を集める理由でしょう。
巨大なアメリカ外食市場を「液体」の力で攻略する
味の素の調査によれば、米国の中食・外食向け調味料市場はなんと2兆円規模に達し、これは世界の約4割を占める巨大なシェアです。特に「中食(なかしょく)」とは、お惣菜やお弁当などを購入して自宅で食べる食事スタイルのことで、現在アメリカでもこの市場は年3%程度の成長を続けています。多忙な現代人のライフスタイルに合わせて、プロの味を支える調味料への需要はますます高まっている背景があるようです。
SNS上では今回のニュースに対し「ついに味の素が本気でアメリカの胃袋を掴みにきた」といった驚きの声が広がっています。また「あの『味の素』の旨味技術が、現地の本格ソースと融合したら最強ではないか」といった、日米の技術融合に対する期待感も多く見受けられました。これまでの粉末製品中心のラインナップに、現地のニーズを捉えた「液体」という新たな武器が加わることへのインパクトは計り知れません。
編集部としての視点では、この買収は単なる規模拡大ではなく、極めて緻密な戦略に基づいた一手だと考えます。これまでの「旨味(UMAMI)」を世界に広めてきた同社が、今度は現地のシェフたちが最も使いやすい「液体の形」で入り込む意義は大きいでしょう。自社の独自成分とモア・ザン社の高品質なベースを組み合わせることで、競合他社には真似できない「究極のカスタマイズ提案」が可能になるに違いありません。
味の素は、2019年08月内にも買収手続きを完了させる見通しを立てています。今後、現地の加工食品メーカーや有名レストランに対して、よりきめ細やかな営業展開が加速していくことは間違いありません。日本の知恵とアメリカの食文化が交差する地点で、どのような新しい「美味しさ」が誕生するのでしょうか。世界を舞台にした同社の次なる展開から、今後も目が離せません。
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