日本の自動車産業を牽引する日産自動車が、大きな決断を下しました。2019年08月23日、同社が約1000億円にものぼる社債を近く発行することが明らかになったのです。社債とは、企業が投資家から直接資金を借りるために発行する債券のことで、日産にとっては2016年以来、実に3年ぶりとなる市場への本格復帰を意味します。かつての経営トップにまつわる騒動を経て、ようやく再起の準備が整ったと言えるでしょう。
これまでは、有価証券報告書の記載内容を巡る問題などから、市場での円滑な資金調達が難しい状況に置かれていました。しかし、2019年06月には、経営の透明性を高める「指名委員会等設置会社」へと移行。これは社外取締役が経営を厳しく監視する仕組みであり、企業統治(コーポレートガバナンス)の抜本的な立て直しが評価された形です。信頼回復に向けた地道な努力が、ようやく実を結びつつあるのかもしれません。
SNS上では今回のニュースに対し、「日産の技術力には期待しているから頑張ってほしい」という応援の声がある一方で、「不祥事からの信頼回復はまだ道半ばではないか」といった慎重な意見も飛び交っています。しかし、投資家の反応は概ね冷静なようです。証券会社を通じて行われた事前の需要調査では、日産というブランドが持つ底力が改めて注目されており、市場はこの「巨人の目覚め」を注視している様子が伺えます。
今回の資金調達の目玉は、何といっても未来への投資です。2019年08月20日に関東財務局へ提出された書類によれば、今後2年間で総額2500億円もの発行を見込んでいます。集められた資金は、自動運転技術やハイブリッド車といった先進分野の研究開発に惜しみなく投入される予定です。CASEと呼ばれる次世代技術の競争が激化する中で、ここでの投資の遅れは致命傷になりかねないという危機感の表れでしょう。
強固な財務基盤と構造改革の行方
現在の業績に目を向けると、2020年03月期の連結純利益は前期比で47%減の1700億円と、厳しい減益が見込まれています。それでも、2019年06月末時点での自己資本比率は28%、手元資金は1兆2000億円を確保しており、財務の安定性は維持されています。格付け会社からも投資に適格であるとの評価を得ており、この厚いキャッシュを武器に、生産能力の最適化や人員削減といった痛みを伴う構造改革を急いでいます。
私自身の見解としては、今回の日産の市場復帰は、単なる資金集め以上の意味を持つと感じています。不透明な経営体制に決別を告げ、自らの技術力を信じて攻めの姿勢に転じるための「決意表明」ではないでしょうか。1000億円という巨額の資金を背景に、私たちが驚くような革新的な電気自動車や自動運転車を世に送り出してくれることを、一人の車ファンとしても、そしてメディアの視点からも切に願っています。
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