女優を目指して劇団に所属したり、旅館の仲居として新潟や長野の温泉地で働いたり、バックパッカーとして東南アジアを旅したりと、岡本由梨さん(37歳)の20代は、まさに自分探しの冒険に費やされました。都内の出版社で文芸編集のアシスタントも経験するなど、様々な職を転々とされてきたのです。しかし、そんなある日、彼女は夢の中で「バッグ作りをやった方がいい」という、まるで啓示のような“お告げ”を受け取ったのでした。
この不思議な出来事がきっかけとなり、岡本さんはすぐに専門学校へ通い始め、24歳でバッグメーカーに入社。そこでバッグ製作の基本、すなわち「いろは」を徹底的に学び、満を持して独立を果たします。最初に手掛けた作品は、コーヒー豆の輸送に使われる麻袋を両面コーティングして仕立てたバッグでした。アフリカや中南米といった農園ごとに異なる独特な絵柄が、デザインとして非常に個性的で、このまま廃棄されてしまうのはあまりにも「もったいない」という彼女の着想から生まれたものだと言えるでしょう。
この独創的なバッグは、当時世の中に広がりつつあったエシカルの潮流に乗って、一躍大きな注目を集めました。ここでいうエシカルとは、「倫理的な」という意味合いを持ち、人や社会、そして地球環境に対して配慮された行動や消費活動を指す言葉です。彼女の取り組みは、まさに環境に優しい消費というトレンドに合致したと言えますね。ですが、彼女は「もっと枠に囚われず自由にモノ作りをしたい」という想いから、4年前に新たなブランド「KHOHi(コイ)」を立ち上げられたのです。
新ブランド「KHOHi」で岡本さんが着目するのは、「自分が恋した素材」です。特に、鳥獣被害が深刻な問題となっている北海道のエゾシカの革や、アフリカの少数民族が手掛ける布など、社会的な背景を持つ素材を積極的に取り入れられています。エゾシカの革は、通常は有効活用されにくい獣皮を使うことで自然との共生に繋がりますし、少数民族の布は、文化の尊重と経済的な支援にもなります。これらの個性豊かな素材を使い、彼女はキュートな巾着袋やカゴなどの製品に生まれ変わらせているのです。
「まずは可愛いと思ってもらえれば、それで十分です」と語る岡本さんですが、彼女の作り出す商品にはいつも深い社会的なメッセージが込められています。単なるファッションアイテムとしてだけでなく、その裏側にある環境問題や地域課題を意識させる、まさにサステナブルなモノづくりの姿勢に、編集者として強く共感いたします。SNSでも、「麻袋バッグのアイデアが天才的!」「エゾシカ革を使ったアイテムはぜひ手に入れたい」といった、彼女のクリエイティブな発想と社会貢献の精神を評価する声が多数見受けられます。今後の展開として、2019年6月下旬にはウェブショップを立ち上げる予定とのこと。彼女の情熱と倫理観が詰まった唯一無二のアイテムを、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
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