近年、企業のWebサイト運営において、SEO(検索エンジン最適化)対策は避けて通れないテーマとなっています。かつては、自社サイトへの被リンク(他のサイトからのリンク)数を増やすといったテクニカルな手法だけで、検索結果の上位に表示させることが比較的容易でした。しかし、現在ではそうした小手先のテクニックは通用しなくなり、Googleをはじめとする検索エンジンのアルゴリズムが進化し、ユーザーにとって本当に価値のある「質の高いコンテンツ」が重視される時代へと大きく変化しているのです。
このような変化に対応するため、コンテンツ制作の重要性にいち早く着目したのが、サイトエンジン(東京・千代田)の毛塚智彦社長です。「今後は質の高いコンテンツを書かなければ、検索エンジン対策はできない」という考えのもと、同社はコンテンツ制作を担うライターの確保に注力し始めました。これは、SEOの本質が、単なる技術論からユーザーに有益な情報を提供するという根本的な価値創造へとシフトしたことを示しています。
しかし、質の高いライターを見つけ出す道のりは、決して平坦ではありませんでした。求人広告を出すと応募は多数寄せられるものの、実際に業務を依頼できるレベルのライターはごくわずかだったそうです。毛塚社長によると、副業でネットの原稿を書いている人が多いためか、「真剣にお客様に伝わる文章」を書ける人材が少ないという現状が浮き彫りになりました。記事を制作する上で不可欠な、読者目線に立った分かりやすい表現力や論理的な構成力が求められているにもかかわらず、その水準に達する人材が不足しているのです。
この問題を解決するため、同社では国語や作文のテストを実施して、応募者を厳しくふるいにかけました。たとえテストをクリアしたとしても、実際の業務では締め切りが守られなかったり、連絡のレスポンスが悪かったりするケースもあり、継続的に依頼できるライターは本当に一握りだったそうです。こうした苦労を乗り越え、地道な努力で優秀な人材を集め続けた結果、2019年6月9日現在、同社は約1000人ものライターを抱える大規模な組織へと成長しました。この取り組みは、コンテンツ制作を事業の核とする上で、人材育成と管理が極めて重要であることを示しています。
多くの企業が避ける「面倒」にこそ商機がある
コンテンツの質を高めるためには、優秀なライターの確保とその管理体制が不可欠です。しかし、この「ライターの確保と管理」という作業が非常に手間と労力がかかるため、多くの検索エンジン対策業者がこの市場から撤退しました。これこそが、サイトエンジンにとって大きなチャンスとなったのです。毛塚社長は「あえて面倒なことにチャレンジしたおかげで、顧客に品質で選んでいただき、順調に売り上げを伸ばし続けている」と語っています。
同社はライターの募集・採用方法を仕組み化し、スキルや実績に基づいたレベル分けを行うなど、大規模な組織を効果的に運営するための管理体制を確立しました。その結果、現在では企業から月間1,000件以上の記事制作を請け負うまでになっています。これは、他社が敬遠する「面倒な課題」に真摯に向き合い、品質という形で顧客に価値を提供し続けた勝利と言えるでしょう。
この記事から読み取れるのは、市場の困難さや厳しさが増した時こそ、ビジネスチャンスが拡大するという真理です。多くの企業は、状況が厳しくなると「撤退」するか「現状維持」のどちらかを選びがちです。しかし、今回の事例のように、競合が次々と撤退するような「あえて厳しい道」を選び、品質への投資を続けることができれば、残った企業が市場において絶対的な優位性を確立できます。これから大変になると予想される市場、つまり競争が激化するSEO市場やコンテンツ制作の領域こそ、大きな成長を遂げるための絶好のチャンスに満ちているのです。
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