世界をリードするタイヤメーカー、株式会社ブリヂストンが2019年9月に向けた大規模な組織改編と人事異動を発表しました。今回の人事における最大の注目点は、従来の製造業の枠組みを超え、先端技術とソリューションを融合させた「サービス化」への強い意志です。SNS上では「ブリヂストンが本気でIT企業のような動きを見せている」といった驚きの声や、新体制による株価への好影響を期待する意見が相次いでいます。
まず2019年09月01日付で、田村康之執行役員が「先端技術・デザイン創出本部長」に就任します。これまで先端技術戦略を担ってきた同氏が、デザインと技術を統合する組織のトップに立つことで、製品の付加価値は劇的に向上するでしょう。これは単に見た目を整えることではなく、ユーザー体験を根本から設計する「デザイン思考」を経営の中核に据えるという、同社の先進的な姿勢が色濃く反映された人事と言えます。
「T&DPaaS」が象徴するソリューションビジネスへの大転換
続いて2019年09月16日付では、経営トップ層の役割分担が明確化されます。江藤彰洋取締役兼執行役社長兼COOが日本国内の事業(BSJP)を分掌し、足元の経営を固める一方で、石橋秀一執行役副会長は「Gソリューション戦略」および「Bridgestone T&DPaaS」の推進という重責を担います。この「T&DPaaS」とは、タイヤのデータやデジタル技術を組み合わせ、顧客に最適な運行管理や安全を提供するプラットフォームを指します。
いわば、タイヤを「モノ」として売るだけでなく、それを利用する際の「価値」を継続的に提供するサブスクリプションのようなビジネスモデルへの移行を目指しているのです。専門的な視点で見れば、これは製造業のサービス化(サービタイゼーション)を象徴する動きであり、競合他社を突き放すための極めて合理的な戦略と評価できます。デジタル変革が叫ばれる現代において、このスピード感ある配置転換は非常にポジティブな印象を与えます。
私個人の見解としては、ブリヂストンが掲げるこの新体制は、100年に一度と言われる自動車産業の変革期において、非常に頼もしい羅針盤になると確信しています。伝統ある大企業が、自らの成功体験に安住せず、先端技術やデザインという未知の領域に果敢に挑む姿は、日本の製造業全体に勇気を与えるのではないでしょうか。今回の人事が、未来のモビリティ社会を支える大きな一歩となることを期待して止みません。