2019年08月27日、フランス南西部の美しいリゾート地ビアリッツで開催されていたG7サミット(主要7カ国首脳会議)が閉幕しました。この大舞台の最後を飾る記者会見で、英国のボリス・ジョンソン首相は世界中が注視する「ブレグジット(英国のEU離脱)」について、極めて強い決意を表明しています。ジョンソン首相は、予定されている2019年10月31日の期限までに、いかなる条件であっても離脱を断行する構えを崩していません。
焦点となっているのは、前政権が合意した離脱案の修正です。特にアイルランドの国境問題を解決するために設けられた「バックストップ(安全策)」の扱いが最大の争点となっています。これは、離脱後の混乱を防ぐために暫定的に英国全体がEUの関税ルールに残る仕組みですが、ジョンソン首相はこれを「民主主義に反する」と激しく批判しました。主権を取り戻したい英国にとって、この縛りは到底受け入れられないというわけです。
インターネット上では、この強気な姿勢に対して「英国の誇りを取り戻すリーダーだ」という期待の声が上がる一方で、「合意なしの強行は経済的な混乱を招く自殺行為ではないか」という不安の声も渦巻いています。SNSでも「ジョンソン氏は賭けに出ている」といった投稿が多く見られ、欧州全土に緊張感が走っている様子が伺えます。まさに、離脱を巡る交渉は「EU側の歩み寄りがあるかどうか」という、瀬戸際の駆け引きへと発展しました。
さらにジョンソン首相は、離脱時に支払う予定だった約390億ポンド、日本円にして約5兆円にも上る「清算金」を切り札として持ち出しました。もしEUが妥協せず、合意がないまま離脱に至った場合、この巨額の資金の大部分を英国内のために活用すると主張したのです。これは、頑なに再交渉を拒むEU首脳陣に対する強力な牽制と言えるでしょう。お金と主権を天秤にかけた、非常にスリリングな外交戦が繰り広げられています。
強まる米英の絆と対中政策の行方
一方で、ジョンソン首相はアメリカとの関係強化を着実に進めています。2019年08月25日に行われたトランプ大統領との首脳会談では、離脱後の速やかな自由貿易協定(FTA)締結に向けて合意が得られました。これは、特定の国や地域間で関税を撤廃し、貿易を自由に行うための約束です。EUという巨大市場を去る英国にとって、アメリカとの「特別な関係」を深めることは、経済の先行きを照らす数少ない希望の光となるでしょう。
また、注目されていた中国のファーウェイ(華為技術)排除問題についても言及がありました。次世代通信規格「5G」から同社製品を排除するようトランプ氏から圧力を受けたかという質問に対し、ジョンソン首相は「そのようなことはなかった」と明言しています。外交の最前線に立つ編集者の視点から言えば、この発言はアメリカへの配慮を見せつつも、独自の判断基準を維持しようとする英国の計算高い外交姿勢の表れではないかと感じます。
私自身の見解としては、ジョンソン首相のこの「背水の陣」とも取れる戦略は、極めてリスキーではあるものの、停滞していた交渉を動かす劇薬になると考えています。ただ、ルールなき離脱が市民の生活に与える打撃を無視してはいけません。果たして2019年10月31日、世界はどのような朝を迎えることになるのでしょうか。EU側がどこまで譲歩の姿勢を見せるのか、英国がどのように孤高の道を歩むのか、私たちの目はしばらくロンドンから離せそうにありません。
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