関西地方は、貸出金が1兆円を超える「メガ信用金庫」が5つも集結する、全国屈指の信金王国として知られています。2019年06月のデータによれば、関西における信金の貸出金シェアは20%弱に達しており、2001年と比較して5ポイントも上昇しました。地域に根ざした独自の存在感を放っています。
しかし、その華やかなシェア拡大の裏側では、深刻な収益力の低下という現実が忍び寄っています。2019年03月期における主要5信金の合計「実質業務純益」は359億円に留まりました。これは2015年03月期と比較すると、わずか4年で約20%も減少した計算になり、経営環境の厳しさを浮き彫りにしています。
ここで注目すべき「実質業務純益」とは、金融機関が本業である貸出や手数料ビジネスでどれだけ稼いだかを示す指標です。一般企業の営業利益に近いものですが、この数字が落ち込んでいる最大の要因は、長引く低金利政策にあります。さらに、これに追い打ちをかけているのが、地方銀行による激しい融資攻勢なのです。
SNS上では、「地銀の金利設定がもはや異常」「信金のテリトリーに地銀が無理やり割り込んできている」といった現場の悲鳴に近い声が散見されます。実際に、5信金の平均貸出金利は2014年03月期の1.8%から、2019年03月期には1.4%まで低下しました。地銀との金利競争に巻き込まれ、体力が削られているのが現状です。
そもそも信用金庫は、営利を第一とする株式会社形態の銀行とは異なり、地域住民や中小企業が互いに助け合う「協同組織」です。銀行が手を差し伸べにくい小さな需要にも応え、地域を活性化させることこそが本来の使命と言えます。しかし、いつの間にか銀行と同じようなノルマ競争に陥っていたのではないか、という反省の声も上がっています。
こうした逆風の中で、京都信用金庫などは「原点回帰」による突破口を見出そうとしています。京都市のチーズケーキ専門店「ソラアオ」は、信金の仲介により老舗「祇園辻利」とのコラボを実現させました。これは、担当者が取引先の悩みをネット掲示板に共有し、全店規模で解決策を探す独自の仕組みが生んだ成果です。
地域経済の救世主へ!手数料ビジネスを超えた「伴走型支援」の重要性
こうしたビジネスマッチングは、単なる情報の橋渡しに留まらず、新たな収益源としての期待も寄せられています。しかし、現実は甘くありません。手数料収入を含む「役務取引等収益」は、5信金合計で2015年03月期の63億円から、2019年03月期には47億円へと減少しており、まだ収益の柱には育っていないのが実情です。
専門家である関西外国語大学の堀江康煕教授は、地域経済が縮小する今こそ、信金が先頭に立って新しい産業を育てるべきだと提言されています。私は、これからの信金には「お金を貸す人」ではなく、「事業を共に作るパートナー」としての役割が求められていると感じます。数字を追うだけの営業から脱却できるかが鍵でしょう。
2019年08月27日現在、信金はまさに存亡をかけた転換点に立っています。地元の企業が本当に困ったときに、真っ先に顔が浮かぶ存在になれるでしょうか。地場産業を育成するという理想を掲げ、どれだけ泥臭く地域に寄り添えるか。その真摯な姿勢こそが、地銀には真似できない信金最大の武器になるはずです。
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