「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びる中、いま大きな注目を集めているのが、社会に出てからも学びを継続する「リカレント教育」です。政府も積極的に提唱しているこの教育形態は、日本語では「学び直し」とも訳され、仕事と学習を交互に繰り返すことで、常に自分自身のスキルを最新の状態に保つことを指します。変化の激しい現代社会において、キャリアを切り拓くための有力な武器となるでしょう。
まず、社会人が学びを深める場として真っ先に思い浮かぶのは、大学が一般向けに開講している公開講座ではないでしょうか。2019年08月27日の時点では、仕事帰りに立ち寄りやすいオフィス街のビルにサテライトキャンパス(本校舎とは別の利便性の高い場所にある教室)を構える大学が急増しています。大学ならではの質の高い知見を、正規の学生にならずとも単発の講座として手軽に学べる点が、忙しいビジネスパーソンのニーズに合致しているのです。
2019年07月に東京・日本橋の「WASEDA NEO」で開催された講座では、アートと脳科学をビジネスに結びつけるという斬新なテーマに80名もの社会人が集まりました。人工知能、いわゆるAIが台頭する未来を前に、人間にしかできない創造性や感性をいかに仕事へ活かすべきか、多くの人が真剣に模索しています。単なる知識の習得に留まらず、人間らしさを再発見する知的好奇心を満たす場として、大学の公開講座は非常に魅力的な選択肢といえます。
早稲田大学のこうした取り組みは、受講料が1,080円からという驚きの低価格設定も話題を呼んでいます。SNS上では「仕事帰りだけでなく、朝活として出社前に学べるのが嬉しい」といった働く女性たちの声も目立ち、ライフスタイルに合わせた学びの形が浸透しているようです。学位取得を目的とする大学院とは異なり、興味のある分野だけをつまみ食いできる柔軟性は、現代のタイパ(タイムパフォーマンス)重視の風潮にも適しています。
一方で、通学の時間が取れない方には、スマートフォン一つで完結するオンライン学習が強い味方になるはずです。リクルートマーケティングパートナーズが展開する「スタディサプリ」は、受験生だけでなく社会人の英語学習ツールとしても爆発的な人気を博しています。月額1,058円という手頃な価格に加え、1回わずか3分という短時間の講義構成は、通勤電車の中や休憩時間といった隙間時間を有効活用したい人々に高く評価されています。
面白い現象として、受験用の歴史などの講義を、ビジネス教養として視聴する社会人も増えています。出張先の歴史的背景を理解しておくことで、海外での商談を円滑に進めるといった戦略的な活用法が広がっているのです。このように、既存の教材を自分の目的に合わせて再定義して利用できるのも、オンライン教育ならではの利点でしょう。場所を選ばず、自分のペースで何度も繰り返し学習できる環境は、学びの継続をぐっと身近なものにしています。
また、ITスキルや文章術など、実務に直結する4,700本以上の動画を提供する「スクー」も、登録者数が約40万人に達する勢いです。生放送であれば無料で視聴でき、講師とリアルタイムでコミュニケーションが取れるライブ配信は、独学では得られない一体感を生んでいます。森健志郎社長が語る「リカレント教育に卒業はない」という言葉通り、日進月歩の技術革新に取り残されないためのプラットフォームとして、オンライン学習の重要性は今後さらに高まっていくでしょう。
企業側も、社員の成長を支援するために独自の研修システムを導入し始めています。エン・ジャパンが提供する「エンカレッジオンライン」では、目先の資格取得だけでなく、物事の本質を捉える「戦略の概念化」といった普遍的な思考力を養うことに重点を置いています。こうした「考え方」の学び直しは、AI時代においても陳腐化しない本質的なスキルとして、今後のキャリア形成における強固な土台となるに違いありません。
最新のテクノロジーを活用した学びも魅力的ですが、図書館を活用した読書や独学という古典的な手法も、自分と向き合う貴重な時間となります。まずは、勤務先が用意している費用助成や、勤務時間を調整できるフレックスタイム制などの支援制度を確認してみるのが賢明です。学び直しは、決して特別なことではありません。自分自身の可能性を広げるための一歩を、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
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