2019年6月13日、経済産業省から私たちの生活に直結する大きなニュースが飛び込んできました。これまで太陽光や風力発電の普及を支えてきた「固定価格買い取り制度(FIT)」が、大きな転換点を迎えようとしています。大手電力が決められた価格で全量を買い取るこれまでの仕組みを終了し、新たに競争入札制度へと移行する方針が固まったのです。早ければ2020年にも関連法が改正される見通しとなっており、エネルギー業界に激震が走っています。
増え続ける国民負担とFIT制度の限界
そもそも2012年に導入されたFIT(固定価格買い取り制度)は、再生可能エネルギーで作った電気を、国が決めた高い価格で長期間買い取ることを約束する仕組みでした。この制度のおかげで日本の再エネ導入は一気に進みましたが、一方で副作用も深刻です。買い取りにかかる費用は2019年度だけで約3兆6000億円にも上り、そのうち私たちの電気料金に上乗せされる形で国民が負担する額は、なんと約2兆4000億円まで膨れ上がってしまっているのです。
「再エネは大切だけど、これ以上電気代が上がるのは困る」というのが、多くの消費者の本音ではないでしょうか。そこで政府は、ドイツなど欧州ですでに導入されている方式を参考に、コスト低減を目指すことになりました。具体的には、50〜100キロワットを超える中・大規模な太陽光や風力の事業者に対し、これまでの「作れば売れる」状態から脱却し、自ら販売先を見つけたり電力卸市場で売ったりするよう促すことになります。
競争入札で事業者はどう変わる?
新制度では、事業者が競争入札で選ばれることになり、より安いコストで発電できる事業者が生き残る仕組みへと変わります。価格は市場の状況で変動することになりますが、もし市場価格が急落して基準価格を下回った場合には、国がその差額を補填するセーフティネットも用意されるようです。これにより、事業者はリスクを回避しながら長期的な投資が可能になりますし、私たち消費者にとっては、事業者間の競争によって将来的な電気料金の値下げ効果が期待できるでしょう。
一方で、小規模な事業用太陽光や家庭用の太陽光パネルについては、制度自体は残るものの、買い取り対象は「余剰電力」のみに限定される方向です。つまり、自家消費を優先し、使いきれずに余った分だけを売電するスタイルが定着していくことになるでしょう。これにより、これまでかかっていた膨大な買い取りコストの大幅な削減が見込まれています。
送電網の弱さという日本の課題
しかし、制度を変えればすべて解決というわけにはいきません。私が特に懸念しているのは、「送電網(グリッド)」の貧弱さです。政府は2030年度までに再生エネ比率を22〜24%に高める目標を掲げていますが、九州地方ではすでに送電網の容量不足で発電を一時的に止める「出力制御」が頻発しています。また東北地方では、稼働していない原発のために送電枠が確保されており、再エネが入る隙間がないという不可解な状況も起きています。
いくら発電コストを下げても、作った電気を運ぶ道路である送電線が詰まっていては意味がありません。制度改正と同時に、インフラ整備を急ピッチで進めることが、真の再エネ主力電源化には不可欠だと私は考えます。単に事業者に競争を強いるだけでなく、国としてこの「送電網問題」にどう本腰を入れるかが今後のカギを握るはずです。
SNSでの反響と今後の展望
今回のニュースを受けて、SNS上では様々な反応が見られます。「再賦課金が高すぎると思っていたから、見直しは賛成」「これで電気代が少しでも安くなれば助かる」といった、家計負担の軽減を歓迎する声が多く上がっています。一方で、「売電価格が下がると、新規の参入が減って再エネ普及が止まるのでは?」「災害時の非常用電源としてのメリットも考えてほしい」といった懸念の声も聞かれ、期待と不安が入り混じっている様子が伺えます。
経済産業省は月内にも有識者会議で案を示し、2020年の通常国会への法案提出を目指すとのことです。私たちインターネットメディアの編集部としても、この法改正が私たちの財布と地球環境のバランスをどう取っていくのか、引き続き注視していきたいと思います。これからのエネルギーは「ただ作る」時代から、「賢く作って賢く使う」時代へと、本格的にシフトしていくことは間違いなさそうです。
コメント