将来の資産承継を考える際、多くの人が直面するのが「税金」という高い壁ではないでしょうか。2019年08月28日、辻・本郷税理士法人の税理士である浅野恵理さんは、賢い選択肢の一つとして「相続時精算課税制度」の活用を提案しています。この制度は、親や祖父母から子や孫へ財産を移す際、累計2500万円という大きな枠内であれば、贈与税を一切支払わずに贈与を受けられる画期的な仕組みです。
「相続時精算課税」という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、その本質は「税金の支払いを将来に先送りする」という点にあります。通常、多額の現金を贈与すると高い税率の贈与税が課されますが、この制度を選べば、贈与時点での負担をゼロに抑えることが可能です。ただし、あくまで「精算」という名が付く通り、贈り主が亡くなった際の相続税計算に、贈与した金額を合算して計算し直すことがルールとなっています。
SNS上では、この制度に対して「一気にまとまった資金を動かせるのは助かる」といった前向きな声が上がっています。その一方で、「一度選ぶと、毎年110万円まで非課税になる『暦年贈与』に戻れないのが悩みどころだ」という慎重な意見も散見されました。このように、利用者にとっては短期的な節税ではなく、長期的なライフプランに基づいた決断が求められる制度であると言えるでしょう。
近年、高齢化社会の進展に伴い、認知症対策としての「民事信託」との比較検討も盛んに行われています。民事信託とは、信頼できる家族に自分の財産の管理権を託すことで、判断能力が低下した後も資産を柔軟に運用・管理できるようにする備えです。浅野さんは、これら二つの手法を天秤にかけ、それぞれの家庭状況に最適な出口戦略を見出すことの重要性を強調しています。
私自身の見解としては、この制度は特に「値上がりが見込まれる財産」を持っている方にこそ大きな恩恵があると感じます。なぜなら、相続時の計算に用いられるのは「贈与した時点での価値」だからです。例えば、将来価値が跳ね上がる可能性のある不動産や株式を今このタイミングで移しておけば、将来の相続税負担を劇的に軽減できる可能性を秘めています。これは、攻めの相続対策と言っても過言ではありません。
もちろん、全てのケースでこの制度が正解とは限りませんが、2500万円という特別控除枠は非常に魅力的です。2019年08月28日現在の税制において、早めに次世代へ資産をバトンタッチし、有効に活用してもらうことは、家族全体の経済的な活性化にもつながるでしょう。大切なのは、メリットだけでなく、将来の相続税額までを見越したシミュレーションを税理士などの専門家と共に行うことなのです。