新潟市に拠点を置き、管工事のスペシャリストとして知られる株式会社カサイが、水産業の未来を塗り替える画期的なシステムを開発しました。同社は配管工具大手のレッキス工業とタッグを組み、ビッグデータを駆使した陸上養殖向け水質管理システム「ウォーターマスター」を、2019年11月から正式に発売することを発表したのです。これは、単なる測定器の域を超えた、まさに養殖界のデジタル革命と言えるでしょう。
これまでの陸上養殖では、水質の維持が最大の難関とされてきました。従来型のシステムは現在の数値を表示するにとどまり、結局は管理者の「長年の勘」や「経験」に頼らざるを得ない場面が多かったのです。しかし、今回登場する新システムは、リアルタイムでの監視はもちろんのこと、蓄積された膨大なデータを基にして、未来の水質変化を予測する機能を備えています。これにより、熟練者でなくとも安定した運営が可能になります。
SNS上では「ついに養殖もデータサイエンスの時代か」「未経験でも参入しやすくなるのは大きい」といった、期待に満ちた声が数多く寄せられています。特に、新規参入を検討している企業や自治体からは、リスク管理の観点から高い関心が集まっているようです。水温や酸素濃度、そしてpH(ピーエッチ:水の酸性やアルカリ性の度合いを示す指標)といった、魚の生命線となる5つの重要な指標を、手元のスマホでいつでも確認できる利便性は圧巻です。
AIが導き出す「一歩先」の管理術と地域活性化への期待
本システムの核心は、鹿児島や新潟で行われた実証実験の成果にあります。現場で得られた生きたデータを解析することで、水の分析を得意とするカサイが精度の高い予測を実現しました。さらに将来的な展望として、AI(人工知能)が各養殖池特有の癖を学習し、その場所に応じた最適なアドバイスを提示する機能の実装も見据えています。まさに、機械が「育ての親」の相棒となってくれるような、心強い仕組みが整いつつあるのです。
私自身、この技術は日本の食糧自給率向上に向けた特効薬になると確信しています。特に注目すべきは、カサイがこのシステムを活用して「廃校の利活用」に乗り出している点です。2019年08月28日現在、福島県内の廃校を養殖拠点へと生まれ変わらせるプロジェクトが進行しています。少子高齢化で増え続ける空きスペースを、最先端の「魚工場」に変貌させる試みは、地域の雇用創出や活性化において極めて重要な役割を果たすはずです。
矢野経済研究所の予測によれば、国内の陸上養殖市場は2021年度には80億円規模へと急成長する見込みです。海面養殖と異なり、天候に左右されず漁業権の制約も受けないこの分野は、ビジネスとしての魅力も十分でしょう。1池あたり約150万円からという価格設定は、決して安くはありません。しかし、水質悪化による全滅リスクを回避し、効率的な餌やりを実現できる価値を考えれば、先行投資としての合理性は極めて高いと言えます。
コメント