夏の静寂を切り裂くように、色鮮やかな2000個もの江戸風鈴が山間の風に揺れています。京都府宇治田原町に位置する正寿院では、2019年07月から2019年09月18日までの期間、「風鈴まつり」が開催されており、訪れる人々を涼やかな音色で出迎えてくれるでしょう。風が吹き抜けるたび、ガラス特有の「カラン」という澄んだ響きが境内に広がり、参拝者のざわめきさえも包み込んでしまうほどの風情が漂っています。
鎌倉時代に創建されたという由緒あるこの古寺が、現在のような注目を集めるきっかけとなったのは、約9年前にスタートしたこのお祭りでした。今や「風鈴の寺」としてその名は全国に知れ渡り、多い日には1日で800人もの観光客が足を運ぶほどの賑わいを見せています。SNS上でも「これぞ日本の夏」「音色が心地よくてずっといられる」といった感動の声が溢れており、写真映えする景観と癒やしの空間が見事に融合しているのが特徴です。
視線を奪う160枚の天井画と厄除けの願いが込められた「猪目窓」
正寿院の魅力は風鈴だけにとどまりません。客殿へ一歩足を踏み入れると、そこには息を呑むほど華やかな160枚の天井画が広がっています。花や日本の風景を描いたこれらの絵画について、副住職は「寝転がって眺めても構いません」と、なんとも粋な提案をされています。寺院という厳かな場所でありながら、訪れる人が心からリラックスして芸術を楽しめる環境が整えられている点に、現代的なおもてなしの精神を感じずにはいられません。
さらに多くの女性客やカップルを虜にしているのが、ハートの形をした「猪目(いのめ)窓」の存在です。猪目とは、日本古来より伝わる伝統的な文様のひとつで、猪の目の形がハートに似ていることから、災いを除け、福を招く「厄除け」の意味が込められています。この窓越しに眺める四季折々の庭園は、まるで額縁に収まった絵画のような美しさで、現在は青々とした初秋の緑が、訪れる人々の目を楽しませているに違いありません。
私個人の意見としては、歴史ある寺院が現代の感性を取り入れ、SNSという架け橋を通じて若い世代に仏教寺院の魅力を伝えている姿勢に深く感銘を受けました。ただ綺麗な写真を撮るだけでなく、風鈴の音に耳を澄ませ、猪目窓に込められた魔除けの願いを知ることで、日常の喧騒を忘れ、心を整えるきっかけになるはずです。2019年09月18日の閉幕までに、この特別な空間を五感で体験しに、ぜひ宇治の奥座敷へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
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