アジアの平和を維持するための重要な歯車が、今まさに大きな音を立てて軋んでいます。2019年08月29日、米国防総省の高官は、韓国政府が決定した「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の終了通告に対し、強い懸念を表明するとともに再考を促しました。この「GSOMIA(ジーソミア)」とは、防衛上の機密情報を他国と共有する際に、その秘密が漏れないよう守るための国際的な約束事です。日韓両国が直接情報をやり取りできなくなることは、北東アジアの防衛網に深刻な穴を開けることを意味しています。
SNS上ではこのニュースに対し、「日本と韓国の対立が、結果として中国やロシアを喜ばせるだけではないか」といった不安の声が数多く寄せられています。米国がここまで危機感を露わにする背景には、急速に影響力を強める中国や、軍事的なプレゼンスを誇示するロシアの存在があるのでしょう。民主主義の価値観を共有する日米韓の足並みが乱れることは、アジア全体の安全保障バランスを根底から揺るがしかねません。今、この地域の緊迫感はかつてないほどに高まっており、関係各国には冷静な判断が求められています。
また、北朝鮮による相次ぐ軍事行動も無視できない大きな要因です。トランプ米大統領はこれまで、短距離ミサイルの発射に対しては比較的寛容な姿勢を示してきましたが、現場を預かる国防総省の視点は異なります。シュライバー国防次官補は、北朝鮮が着実にミサイル技術の「高度化」、つまりより遠くへ、より正確に攻撃を仕掛ける能力を高めていることに警鐘を鳴らしました。発射実験を繰り返すごとに攻撃能力が洗練されていく現状は、米国や同盟国にとって看過できないリスクとして積み上がっています。
情報共有の断絶が招く「空白」という最大の脅威
GSOMIAが失効すれば、日本の持つレーダー情報や韓国の持つ人的情報がスムーズに共有されなくなります。これは、敵対勢力の動きを察知するスピードが鈍ることを意味し、一分一秒を争う有事の際には致命的な遅れとなりかねません。編集部としては、日韓両国の歴史的な溝は深いものの、安全保障という生存に関わる領域においては、感情を排した現実的な協力が不可欠であると考えます。米国が公の場で異例の再考を求めたという事実は、アジア安保がそれだけ「崖っぷち」に立たされている証左と言えるでしょう。
今後の焦点は、2019年の秋に向けて韓国側がこの米国の要請をどのように受け止め、方針を転換するかどうかに集まっています。もしこのまま協定が終了してしまえば、中ロがその隙を突いてさらなる挑発を強めてくる可能性は極めて高いと予測されます。アジアの安定は、日本一国の努力では成し得ない繊細なバランスの上に成り立っているのです。私たちは今、自国の安全がどのような連携によって守られているのか、改めて真剣に向き合うべき時を迎えているのではないでしょうか。
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