🔥【天然ゴム高騰の波】エルニーニョと輸出削減で急上昇!タイヤメーカーを襲うコスト高騰の懸念とは?

2019年6月13日、自動車用タイヤの主原料である天然ゴムの価格が急激に上昇し、市場で大きな注目を集めています。その背景には、主要産地である東南アジアにおける天候不順と、生産国による輸出削減の動きが深く関わっていることが判明しました。現物価格が高騰していることから、東京商品取引所(東商取)の先物相場は、およそ1年5カ月ぶりの高値を記録しています。天然ゴムは、自動車産業をはじめとする多くの分野で欠かせない重要素材ですから、この価格変動は世界経済に影響を与える可能性があります。

国際的な指標となる東商取の天然ゴム先物(RSS、リブド・スモークド・シート)は、取引量が最も多い期先で、6月7日に1キログラムあたり206.4円という2018年1月下旬以来の高値をつけました。これは年初と比較して17パーセントもの大幅な値上がりです。12日にも204.9円で取引を終えており、その高値傾向は続いています。さらに、現物市場の供給が非常に逼迫している状況を反映し、先物相場では決済時期が近い「期近」の価格が、遠い「期先」よりも高くなる「逆ざや」という現象が発生しています。これは、目前の在庫不足が深刻であることを示す重要なシグナルです。

世界全体の天然ゴム生産量の約7割を占める東南アジアの産地では、供給量が減少する懸念が強まっています。タイ、インドネシア、ベトナムといった主要生産国は、春先から「エルニーニョ現象」の影響と見られる高温や少雨に見舞われました。「エルニーニョ現象」とは、南米ペルー沖の海面水温が平年より高くなる現象で、世界各地の異常気象の一因となると言われています。通常、2月から4月は乾期で乾燥し、ゴムの木が葉を落とし(落葉)、樹液であるラテックスの出が悪くなる時期ですが、今年は年初に台風や津波といった災害が重なったこともあり、減産規模が例年よりも大きくなったと見られています。

実際、天然ゴム生産国連合(ANRPC)が5月下旬に発表したデータによると、2019年1月から3月の世界生産量は、前年同期比で5パーセント少ない299万トンにとどまりました。これは、同時期の世界消費量(同0.4パーセント減の338万トン)を下回る水準です。さらに、例年であれば雨期に入り生産量が増加する5月になっても、生産の回復は鈍い状況が続いています。ゴム専門商社である加藤事務所の加藤進一社長も、「ベトナムでは6月になるまで樹液が採れない時期が続いた」と、現地の深刻な状況を語っています。

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天候と政策が重なる価格高騰の背景

このような需給逼迫を受け、タイの現物相場(RSS)は、先物相場を上回る値上がり幅を見せています。現在、1キログラムあたり60バーツ(約210円)前後で取引されており、年初から24パーセントもの大幅な上昇です。この先物価格の上昇は、天候不順による供給減だけでなく、世界生産の約6割を担うタイ、インドネシア、マレーシアの3カ国による「輸出削減」策の効果も反映していると考えられます。これらの国々は、市況のテコ入れ、すなわち価格の安定と上昇を狙い、2019年3月上旬に、4カ月間で合計24万トン(3カ国の2017年生産量の3パーセントに相当)の輸出量を減らすことで合意し、4月から実行に移しているところです。

この輸出削減は、世界需要の4割を占める中国にも影響を及ぼしています。上海期貨交易所の指定倉庫在庫は、6月6日時点で約42万3千トンとなり、前年同期と比較して13パーセントも減少しています。在庫の減少は、供給側の引き締め策が効いている証拠と言えるでしょう。SNS上でも、天然ゴムの高騰は「タイヤ価格に影響するのではないか」といった懸念の声や、「東南アジアの天候不順は想像以上に深刻だ」といった現地の状況を危惧するコメントが散見され、市場関係者だけでなく、一般消費者も価格動向に注目している様子がうかがえます。

しかしながら、今後の相場上昇の勢いは限定的になるという見方が優勢です。その大きな要因として、最大需要国である中国の需要不安がくすぶっていることが挙げられます。中国の新車販売は、2019年5月まで11カ月連続で前年実績を下回っており、需要の減退が顕著です。中国の2019年1月から4月の天然ゴム輸入量も65万トンと、前年同期比で1割少ない水準にあります。この新車販売の低迷が続けば、タイヤの需要が減少することは確実であり、供給の逼迫を相殺する可能性があります。

市場は既に、天候不安に伴う現物不足の影響を材料として価格に織り込みつつあるという指摘もあります。サンワード貿易の松永英嗣氏は、「米中対立の激化による市場全体のリスクオフの姿勢が続く中では、1キログラムあたり210円程度が当面の上値(価格の上限)になるのではないか」と分析しています。私見として、天然ゴムの需給は、天候や産地の政策といった供給側の要因と、中国経済の動向という需要側の要因が綱引きをしている状態にあると言えます。短期的には供給不足が価格を押し上げていますが、世界経済の不透明感が強まる状況下では、自動車関連の最終需要の低迷が、今後の価格の大きな重石となる可能性が高いでしょう。今後の天然ゴムの価格動向は、タイヤメーカー各社の収益を圧迫する懸念材料であり、その影響を注視していく必要があるでしょう。

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