【物流革命】人手不足解消の切り札!伊藤忠商事が仕掛ける「割安バーコードリーダー」活用ソリューションとは?

深刻化する人手不足を背景に、物流や小売りの現場における効率化は、いまや待ったなしの喫緊の課題です。このような状況のなか、大手総合商社の伊藤忠商事は、物流効率化を支援する新たなビジネスに本格的に乗り出すことを決定いたしました。その核となるのが、米アップルの**「iPhone」を活用した割安なバーコード読み取り装置**を開発した新興企業、株式会社アスタリスク(大阪市)への出資と、両社によるソリューションのセット販売です。

この新規ビジネスの具体的な戦略として、伊藤忠商事の完全子会社である伊藤忠紙パルプが、2019年6月上旬にアスタリスクに数億円を投じ、約10%を出資したとのことです。伊藤忠紙パルプは、製紙や包装材などを扱うことで、製造業や食品業界など数百社におよぶ強固な顧客基盤を持っています。この幅広い顧客網こそが、物流効率化の提案を進めるうえで大きな強みとなり、新たな収益源として事業を育成していく計画でしょう。

アスタリスクが開発した小型端末**「AsReader(アズリーダー)」は、手持ちのiPhoneに装着して利用する画期的な製品です。段ボールや製品に印字されたバーコードを読み取ることが可能で、現場の作業を強力にサポートします。従来、大手メーカーが販売する専用のバーコード読み取り機が1台あたり20万円から30万円もするのに対し、このアズリーダーは約7万円という驚きの低価格を実現しています。さらに、本体のiPhoneの購入費用を加えても、従来の専用機と比べて半額程度**に抑えられるため、初期投資を大幅に削減できる点が最大の魅力といえるでしょう。

また、近年普及が進んでいるRFIDタグ(無線自動識別タグ)、すなわち電波を用いてICチップのデータを非接触で読み書きする技術に対応した装置も、約12万円という価格で販売されています。この価格帯で最新の**デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進できるため、特にコストに敏感な中小企業にとって、非常に導入しやすいソリューションとなっています。私見ですが、この「安価で高機能」**という戦略は、多くの現場で導入の壁を低くし、一気に市場を拡大する突破口となるのではないでしょうか。

この提携が提供するのは、単なる機器の販売に留まりません。在庫や物流のプロセス全体を改善するソリューションの提案が鍵を握ります。現場では、数を把握するだけでは、倉庫のどこに、どんな商品が、どれだけあるのかという「場所」の情報を管理することが難しく、中小企業では長年の経験と勘を持つベテランのスキルに頼っているケースも少なくありません。アズリーダーを活用すれば、バーコードなどの情報を通じて「棚のどこにあるか」というロケーション情報が容易に管理できるようになり、より正確な在庫の適正管理が可能となります。

アスタリスクは、機器開発に加え、システム開発も得意としています。そのため、顧客企業がすでに導入している基幹システム(企業の主要な業務を支える中核となるシステム)とも、アズリーダーの情報をシームレスに連携させることが可能です。これにより、現場のリアルタイムな情報が経営判断に直結し、より迅速で的確な業務改善が実現するでしょう。現在、アスタリスクは国内の医療、物流、アパレルといった幅広い業界に加え、海外の北米市場へも積極的に展開しています。

現在、アスタリスクの年間販売台数は約2万5千台、年商は10数億円規模ですが、今回の伊藤忠商事との強力な提携により、年商を20数億円へと倍増させる計画を描いています。一方、伊藤忠紙パルプの親会社である伊藤忠商事の狙いも明確です。デジタル化の波によって、紙・板紙の国内需要は、2018年で2,608万トンと、2000年と比較して約2割減少しており、紙市場の縮小は避けられない状況です(日本製紙連合会調べ)。

このような市場環境のなか、伊藤忠紙パルプは、これまで物流情報を管理するためのラベル用紙を得意としてきましたが、経済産業省が2025年までにコンビニエンスストアで1,000億枚のRFIDタグ活用を目指すといった目標を掲げるなど、情報管理のデジタル化は急速に進んでいます。この流れに乗じ、デジタル化に関心を持つ顧客に対し、新事業を提案することで、既存の流通向け紙需要の目減りによる売上減少を抑制する狙いがあると考えられます。まさに、新規事業を模索する伊藤忠紙パルプと、販路拡大を図るアスタリスクの思惑が一致した、絶妙なタイミングでの戦略的提携といえるでしょう。この提携は、物流業界全体の**デジタルトランスフォーメーション(DX)**を加速させる、重要な一歩になるはずです。

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