🔥信金界の風雲児「西武信用金庫」失墜の舞台裏:行き過ぎた成果主義が招いた不適切融資と業務改善命令の波紋を徹底解剖!

2019年5月24日、金融界に衝撃が走りました。大手信用金庫である西武信用金庫(東京・中野)が、金融庁から業務改善命令を受けたのです。直接のきっかけとなったのは、反社会的勢力と疑われる相手への融資など、複数の不適切な取引が発覚したためです。かつて、当時の落合寛司前理事長のもとで、投資用不動産向け融資を軸に独創的な手法で貸出金を急拡大させ、「信金の旗手」として地域金融機関のモデルケースとまで評価されていた西武信金。その栄光からの失墜は、いったい何を示しているのでしょうか。金融機関の成長戦略を描くことの難しさと、その裏側に潜む経営のゆがみが、この出来事から浮き彫りになってきました。

業務改善命令が出された5月24日、西武信金が開いた記者会見には、その急成長を牽引した落合前理事長の姿はありませんでした。彼に代わり、高橋一朗常務理事が同日付で理事長に就任しましたが、「責任の所在の明確化」と題された資料には、高橋氏らの減給処分しか記載されていません。記者団からは「前理事長はなぜ会見に出ないのか」「退職金は支払われるのか」といった厳しい質問が飛び交い、高橋新理事長は言葉を濁すばかりで、その表情は赤く染まっていました。この対応は、SNSなどでも**「トカゲのしっぽ切りでは?」「トップの責任逃れだ」といった厳しい批判を呼び、信用金庫に対する信頼性**を揺るがす結果となりました。

落合前理事長は、都内大学を卒業後、1973年に西武信金に入庫しました。多摩信用金庫の牙城(がじょう)であるエリアで支店長を務めていた時代には、融資を大幅に増やし、周囲に**「多摩信金の支店長を何人もやっつけてきた」と豪語するなど、その功績と自信は並外れたものだったようです。2010年6月に理事長に就任して以降、彼は融資を伸ばすことに徹底的にこだわりました。結果、2010年3月末には8,916億円だった貸出金残高は、2018年3月末には1兆6,618億円**へと膨れ上がり、約90%という驚異的な伸び率を達成しています。これは、信金業界の平均伸び率が約10%であったことを考えると、いかに異例の急成長であったかが分かります。

この急成長を支えたけん引役こそ、投資用不動産向け融資でした。2013年に日本銀行が異次元緩和を開始すると、その流れに乗って不動産融資を加速させ、2017年度には前年度比で3割近くも増加させています。特に注目されたのが、西武信金が編み出した独特な審査手法でした。不動産融資の一般的な審査では、建物の税法上の法定耐用年数(例えば、鉄筋コンクリート造マンションは47年、木造アパートは22年)に基づいて融資期間を定めるため、築古物件(建築から年数が経過した物件)は担保価値が低く、融資も短期になりがちで、投資としては成立しにくいのが現状でした。

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独自の「経済的耐用年数」がもたらした光と影

西武信金は、この伝統的手法の壁を打ち破るべく、築古の物件であっても修繕・再生を行えば十分に利用価値があると着目しました。そして、第三者機関と連携し、独自の**「経済的耐用年数」という評価基準を策定したのです。例えば、RC造マンションの耐用年数を60年と評価することで、築30年でも残りの30年間の融資が可能となり、投資が成立する道が開かれました。これは、「貸し手の創意工夫」として当初は一定の評価を得ていた手法で、築古物件や古民家の再生・開発に融資する道を開く、まさに「魔法のつえ」とも呼ばれました。しかし、この「魔法のつえ」は、やがて不正行為**を招く温床となってしまったのです。

現場では、職員や支店が、融資がしやすいように期待する耐用年数を第三者機関に示唆するようになり、本来の経済的価値を無視した評価が出回るようになりました。これは、「経済的耐用年数」という専門用語が持つ柔軟性と、それを逆手にとった不正の構造を示しています。この背景には、西武信金が極端な成果主義を徹底させていたことがあります。成果を上げた支店長には数千万円の年収が与えられる一方で、成績の振るわない支店長は接客係に回されるといった過酷な人事が行われていました。20代で年収が1,000万円を超えるケースもあったとされ、この極端なインセンティブが、職員を融資拡大へと駆り立てたのです。

さらに、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の観点からも問題がありました。支店長を兼務する理事を置くなど、現場に大きな裁量が与えられた結果、審査部に書類を送らない支店長まで現れる始末です。融資の拡大目標と極端な成果主義が相まって、企業統治は形骸化し、内部調査では、投資用不動産向け融資127件の取引で、審査書類の偽装・改ざんを見逃した可能性が指摘され、実際に73件の偽装が判明しました。また、反社会的勢力と疑われる相手への融資も発見され、問題の取引だと認識した後も、これを放置していたとみられています。

金融庁の調査は、2018年1月に発覚したスルガ銀行の不正融資問題を受けて、同年秋から西武信金を含む地域金融機関を対象に行われた不動産融資の実態調査の過程で、この問題を突き止めました。金融庁は、西武信金の経営体制について**「強い発言力を有する理事長に対して、十分なけん制機能が発揮されていない」と指弾しています。地域の魅力研究所代表理事である多胡秀人氏は、西武信金の事例について、「目指していた方向性は正しかったが、行きすぎた成果主義と、トップの『おごり』が現場の変質を招いた」と評しています。私も、トップダウンによる強引な成長戦略が、適切なリスク管理を疎かにし、最終的に組織全体の倫理観**を麻痺させてしまったのだと考えます。

西武信金は2011年に定年制度を廃止し、中途採用の年齢制限もなくすなど、「個人の働く力」を軸とした人事改革でも知られていました。会社が認めれば60歳を過ぎても昇進・昇格が可能という仕組みは、少子高齢化と人手不足に悩む地域金融の**「解」となり得る可能性を秘めていました。しかし、金融庁幹部が「何もしない地域金融機関のトップに『ほら見ろ』といわれるのが何よりも悔しい」と表情を曇らせて語ったように、今回の不祥事は、地域金融の成長とコンプライアンス**の両立がいかに難しいかを、改めて突きつけた形となりました。西武信金が今後、どのようにして信頼回復と経営改善を進めていくのか、その動向に注目が集まるでしょう。

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