2019年6月13日、東京証券取引所(東証)は、日産自動車に対して改善報告書の提出を求めるという異例の措置を発表いたしました。これは、日産が有価証券報告書(有報)という企業の情報開示における非常に重要な書類に、役員報酬の虚偽の記載を行っていたという重大な問題が発覚したことを受けたものです。この問題は、日産の元会長であるカルロス・ゴーン被告を巡る一連の騒動の中で、昨年2018年11月以降に明るみに出たものとして、世間へ大きな衝撃を与えています。
この虚偽記載により、日産は過去にさかのぼる形で有報を訂正せざるを得なくなりました。東証は、このような行為が市場機能の健全性、そして何よりも投資家の皆様からの信頼を著しく損ねたとして、日産の内部管理体制の抜本的な改善を強く求めています。この対応は、単なる形式的な手続きではなく、上場企業として最低限順守すべき適正な業務運営の規範に日産が違反したと東証が判断したことに基づくものでしょう。
東証が日産に提出を義務付けた改善報告書には、不正行為の詳しい経緯や、今後二度とこのような事態を招かないための再発防止策を明確に盛り込むことが求められており、その提出期限は2019年6月27日に設定されています。また、提出から半年後には、実施した改善策の状況を報告する別の報告書も改めて提出する必要があるとのこと。これは、形式的な報告に終わらせず、実効性のある改善がなされているかを厳しくチェックしていくという、東証の毅然とした姿勢の現れだと感じています。
東証の指摘によれば、日産の内部管理体制における問題点は、ガバナンス、つまり企業統治の根幹に関わるものでした。具体的には、元会長に人事や報酬に関する権限が集中しすぎていたこと、そして、本来その権限行使を監視・監督すべき管理部署の機能が十分に機能していなかった点が挙げられています。これは、一人の人間に権限が集中することのリスクを改めて浮き彫りにした事例であり、上場企業におけるコーポレート・ガバナンスの重要性を再認識させるものです。
この日産の事態は、SNS上でも「会社のガバナンスがここまで機能しないなんて信じられない」「投資家として、上場企業の信頼回復に期待したい」といった厳しい意見や、内部管理体制の甘さに対する失望の声が多く見受けられます。中には、企業を信頼して投資していた一般株主からの切実な声も聞かれ、今回の問題の深刻さを物語っているといえるでしょう。
東証が上場企業に対し、内部管理体制の改善を求める際の措置としては、今回の改善報告書の提出要請のほかにも、より厳しい処分として「特設注意市場銘柄(特注)制度」があります。これは、上場廃止のおそれがある企業を対象とした制度で、日産への措置は、現時点では「特注」適用前の段階といえますが、今回の措置の背景にある、投資家の信頼回復という課題は極めて重いものです。企業は、透明性と説明責任を果たすことで、初めて社会からの信頼を得られるという基本を忘れてはならないと、改めて強く提言させていただきます。
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