2019年6月の金融市場において、電力大手2社である中部電力(9502)と四国電力(9507)が、安定的な資金調達手段として注目度の高い社債(しゃさい)を発行しました。社債とは、企業が一般の投資家から資金を借り入れるために発行する債券、つまり「借用証書」のようなものです。特に、今回発行されたのは「一般担保付社債」という種類で、これは企業の全財産が借入金の担保となる仕組みが採用されており、投資家にとって、比較的安心感のある金融商品と言えるでしょう。
まず、中部電力は、2019年6月13日に2種類の社債の申し込みを受け付けました。一つは「第530回一般担保付社債」で、発行総額は200億円、償還期限は2029年6月25日までの10年間となっております。気になる利率は年0.274%です。もう一つは「第531回一般担保付社債」で、こちらは発行総額100億円、償還期限は2039年6月24日までの20年間と、より長期の債券になっており、利率は年0.563%で設定されています。
これらの社債は、いずれも発行価格が額面通りの100円で、払込日は2019年6月20日に予定されていました。長期にわたる安定的な事業基盤を持つ大手電力会社が、この超低金利の環境下で資金調達を行うことは、企業の財務戦略として非常に理にかなった動きだと考えられます。一般の投資家から見ると、預金金利がゼロに近い水準であるため、わずかであっても確実性の高い利息収入が得られるこれらの社債は、魅力的な投資先の選択肢の一つになったのではないでしょうか。
四国電力の超長期社債と市場の反応
一方、四国電力も2019年6月13日に「第306回一般担保付社債」の申し込みを受け付けました。発行総額は100億円で、特筆すべきは、その償還期限が2049年6月25日までの30年間という超長期である点です。利率は年0.940%と、中部電力の社債と比較しても高めの水準が設定されました。払込日は2019年6月25日で、発行価格は同様に100円です。
この30年という長期債が設定された背景には、四国電力が将来に向けた設備投資や事業基盤の強化を見据え、超低金利のメリットを最大限に活かし、返済負担を抑えながら長期の安定資金を確保したいという強い意図が感じられます。また、投資家サイドも、他の金融商品と比較して、比較的高い利回り(0.940%)と、大手電力会社という安定性の両方を享受できるため、長期的な資産形成を目指す層から一定の需要があったと推測されるでしょう。
SNSやインターネット掲示板などでの反響を見ると、これらの大手電力会社による社債発行に対しては、「安定性が高いから、銀行に預けるよりはマシ」「長期でこの利率は少し物足りないが、低金利時代では仕方ない」「年金代わりに購入を検討する」といった、金利水準に対するやや冷静な見方と、企業の信用力に対する安心感を評価する声が混在していました。私見ではありますが、日本が長引く低金利政策を続ける中、事業継続性が極めて高いインフラ企業、それも「一般担保付」という信用補完された社債は、リスクを極力避けたい個人投資家にとって、非常に有用な金融ツールだと言えるでしょう。
コメント