【独自視点】「人生100年時代」の呼びかけが生む消費冷え込みの罪!2000万円不足問題の深層と日本経済縮小リスクを徹底解説

2019年6月初旬、金融庁の金融審議会が公表した老後資金に関する報告書が、日本社会に大きな波紋を広げました。この報告書は、長寿化が進む「人生100年時代」を見据えた資産形成の必要性を訴えるものでしたが、そのメッセージの伝え方が非常に難しく、かえって人々の不安を煽る結果となったのです。

この報告書で示されたのは、平均的なケースとして、夫が65歳以上、妻が60歳以上の夫婦が公的年金のみに頼った生活を送ると、毎月約5万円の赤字が発生し、今後30年間生きるには約2000万円が不足するという衝撃的な試算結果でした。将来への不安を指摘し、自助努力での資産形成を促すことは、確かに正論と言えるでしょう。

しかし、この試算が独り歩きしたことで、SNSなどインターネット上では「政府は『年金は100年安心』と言ってきたのに無責任だ」「老後の資金を2000万円も貯めるのは無理だ」といった批判や不安の声が爆発的に広がりました。その反響の大きさから、当時の麻生太郎金融担当大臣が報告書の受け取りを拒否するという異例の事態にまで発展したのです。

私見を申し上げれば、この騒動の本質は、老後への「備え」の呼びかけが行き過ぎることで、かえって**「将来不安」が増幅され、それが消費を抑制してしまうという、極めて深刻なリスクを顕在化させた点にあると考えます。つまり、「人生100年時代」への備えが、現在の消費を冷え込ませ、ひいては日本経済全体を縮小させる「罪」となりかねないのです。

なぜなら、もし国民の多くがこの報告書を真に受け、急に毎月5万円ずつ貯蓄に回し始めたとしたらどうなるでしょうか。国内の消費は急激に縮小し、消費税率の引き上げがもたらす影響どころではない、甚大な経済的衝撃をもたらすことになりかねません。これは、個々人の行動が合理的であっても、それが全体に波及すると非合理的な結果をもたらすという、経済学の重要な概念である「合成の誤謬(ごびゅう)」の典型的な例と言えるでしょう。ここでいう「合成の誤謬」とは、たとえば「皆が貯蓄を増やすのは合理的だが、皆が貯蓄を増やしすぎると消費が減り景気が悪化する」といった事態を指します。

さらに、その貯蓄の行き先も問題視されます。金利がほとんどゼロの銀行預金に資金を留めていては、資産形成として十分な効果は得られません。資産を中長期で増やすためには、本来、株式などのリスク資産への投資が有効とされます。しかし、将来への不安から国民全体が貯蓄を優先し消費をしない状況では、国内の需要はますます縮小してしまい、企業の投資意欲も減退し、結果として株価も伸び悩んでしまう可能性が高いでしょう。

結局、豊かな人生100年を実現するためには、個人が資産形成を行うことと同時に、その資金が流れ込む国内の投資機会を魅力的なものにすることが不可欠です。個人の資金が魅力的な投資機会に流れ込み、それが高いリターンを生み出せば、個人も企業も豊かになり、次の投資や消費へとつながる好循環が生まれるはずです。

人口が減少していく日本国内において、いかにして魅力的な投資機会を創出していくか。金融政策や財政政策による一時的な景気刺激策だけでは、根本的な解決には至らないでしょう。日本経済の潜在的な成長率、すなわち構造的な成長力を高めるための規制緩和などの構造改革**こそが、今、政府に強く求められている課題だと言えるでしょう。「改革と成長なくして、豊かな人生100年なし」という認識を持つべきだと、強く提言いたします。

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