プログラミングのスキル一つでIT業界を鮮やかに渡り歩いてきた「さすらいのプログラマー」が、今、ソニー屈指の異端児とタッグを組み、人工知能(AI)ビジネスの新たな地平を切り拓こうとしています。その中心人物である清水亮氏は、わずか43歳にして数々の伝説を持つ早熟の天才です。小学生時代には高校レベルの三角関数を独学でマスターし、父親に買い与えられたパソコンで3Dグラフィックスを自作していたというから驚きを隠せません。
大学時代からフリーランスとして活動を開始した彼は、22歳の若さで米マイクロソフト本社から「アーキテクト」という重要な肩書で招かれました。アーキテクトとは、システムの全体設計を司る建築家のような役割を指す専門用語です。この時期にドワンゴ創業者の川上量生氏と出会い、制作した「釣りバカ気分」は、携帯電話の位置情報を活用した「位置ゲー」の先駆けとして、世の中に大きな衝撃を与えた大ヒット作となりました。
2006年末、清水氏は独自ブラウザを搭載した大画面携帯の企画を練り上げましたが、その直後にスティーブ・ジョブズ氏が「iPhone」を発表し、世界を震撼させたのです。自らの先見性が証明された一方で、その完成度の高さに悔しさを滲ませた清水氏でしたが、情熱が衰えることはありませんでした。2013年には手書き操作に特化した独自のタブレット端末「エンチャントムーン」を発表し、これが運命の出会いを引き寄せることになります。
ソニーの異端児・北野宏明との運命的な出会い
清水氏の才能に目を留めたのが、ソニーコンピュータサイエンス研究所の社長を務める北野宏明氏です。北野氏は機械翻訳の分野で国際的な実績を積み、ソニーでは伝説の犬型ロボット「AIBO」の開発にも携わった人物ですが、当時の社内ではAI研究を傍流と見なされることもある、ある種の異端児的存在でした。しかし、彼は清水氏の中に秘められた圧倒的な突破力を見抜き、未来を託すに足るパートナーだと確信したのでしょう。
「AIで突出した会社を作りたい」という北野氏の熱い呼びかけに応じ、2017年06月に誕生したのが新会社「ギリア」です。同社は、マウス操作だけで「深層学習(ディープラーニング)」の開発を可能にする革新的なソフトウェアの開発に着手しました。深層学習とは、人間が教えなくてもコンピューターがデータから特徴を自動で学び取る高度なAI技術のことですが、ギリアはこれを誰にでも扱える身近な道具へと変えようとしています。
2019年08月には「家庭教師のトライ」と提携し、7万人以上の中高生に向けたAI学力診断サービスを開始するなど、その活動は既に社会実装の段階に入っています。ネット上では「この二人が組めば日本のAIは面白くなる」「難しいAIを民主化してほしい」といった期待の声が次々と上がっており、注目度は抜群です。天才と異端児が掲げる「ヒトとAIの共生」という壮大なビジョンは、今まさに力強い一歩を踏み出したばかりだと言えるでしょう。
私自身の見解としても、技術を象牙の塔に閉じ込めるのではなく、誰もが直感的に使える形へ落とし込む彼らの姿勢こそが、停滞する日本のIT産業に風穴を開ける鍵になると強く感じます。過去のiPhoneでの悔しさをバネに、今度は日本発のAI革命が世界を席巻する日が来ることを、期待せずにはいられません。彼らが描く未来図は、単なる効率化を超えた、人間と知能の新しい関係性を提示してくれるはずです。
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