2019年9月20日に幕を開けるラグビー・ワールドカップの開催まで、いよいよ残り11日と迫ってまいりました。世界中の視線が注がれる中、決戦の舞台の一つである東大阪市花園ラグビー場では、選手たちが最高のプレーを披露するための準備が最終局面を迎えています。特に注目すべきは、激しいぶつかり合いを支えるピッチのコンディションです。グラウンドキーパーを務める唐仁原幸一さんの手によって、まるで絨毯のような美しい緑が丁寧に作り上げられています。
今大会に向けて花園が採用しているのは、「オーバーシード」と呼ばれる高度な芝生管理の手法です。これは、夏に強いベースとなる夏芝の上から、寒さに強く鮮やかな緑を保つ冬芝の種をまく技術を指します。あえて性質の異なる2種類の芝を重ねることで、ラグビー特有の激しいスクラムや急激な切り返しによる負荷がかかっても、地面が剥き出しになりにくい強固な地盤を作り出せるのです。選手たちの安全と迫力あるプレーの両立は、この2層構造によって支えられているといえるでしょう。
天候の逆境を乗り越える匠の技と情熱
しかし、2019年の夏は整備担当者にとって非常に厳しい試練の連続でした。例年にない長雨や深刻な日照不足が重なり、生き物である芝生を育てるには最悪とも言える環境が続いたのです。こうしたピンチに対し、唐仁原さんは肥料の成分を細かく調整し、土壌改良剤を絶妙なタイミングで投入するなどの工夫を凝らしました。まさに長年の経験に裏打ちされた「匠の技」が、逆境を跳ね返したのです。SNS上でも「花園の芝が驚くほど綺麗」「職人のこだわりが凄すぎる」と、その仕上がりに称賛の声が相次いでいます。
編集者である私自身の視点から見れば、ラグビーは単なる力と力のぶつかり合いではありません。選手が全力を出せるのは、足元の芝が滑らず、しっかりと踏ん張りが利くという信頼があるからです。2019年9月9日現在、完成間近のピッチからは、裏方として大会を支えるプロフェッショナルの並々ならぬ執念が伝わってきます。スタジアムに足を運ぶ際は、ぜひその美しい緑の層にも注目してみてください。そこには、世界最高峰の試合に相応しい、日本が誇るホスピタリティと技術の結晶が息づいているはずです。
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