大手アパレル、オンワードホールディングスが、傘下の人気ブランド「グレースコンチネンタル」の再構築に本腰を入れています。2019年2月以降、横浜市を皮切りに、新たなコンセプトを体現する店舗を次々とオープン。デザイナーが世界各国を巡ってインスピレーションを得た、個性的で魅力的なデザインが人気を博しており、開始からわずか3カ月間で約7千万円の売上高を達成するなど、他ブランドとの差別化に成功している様子がうかがえます。
このたび新しく立ち上げられたのが、「ORIGINATED IN GRACE CONTINENTAL(オリジネイティッド イン グレースコンチネンタル)」という複合ブランドです。これは、従来の「グレースコンチネンタル」をはじめとする5つのラインを統合し、多様な世界観を一挙に体感できるようにしました。その最大の特徴は、デザイナーが世界で実際に目にした景色や植物といったインスピレーションを、そのまま洋服のデザインへと昇華させている点にあるでしょう。
例えば、インド、スペイン、ミャンマーなど、デザイナーが旅先で出会った美しい風景や壁紙、現地の草花の色や柄に注目し、それを洋服に落とし込むことで、日本国内ではなかなか目にすることのない、独特なデザインを創出しています。特にこだわっているのは、その唯一無二の柄や色合いです。あるワンピースでは、赤い水玉模様に赤いストライプの刺繍を袖口や裾に施し、さらに首回りや手首には水色と白の飾りが無数につけられています。このような凝ったディテールは、まさにオリジネイティッド イン グレースコンチネンタルならではの魅力でしょう。
また、着こなしの提案にも工夫が凝らされています。春夏コレクションでは、白黒のギンガムチェックのノースリーブドレスに、繊細なレースで作られた黒地に白の花模様のドレスを重ね着させる、といった大胆なレイヤードスタイルを提案しています。通常は合わせることが少ない異素材や異なる柄同士の組み合わせですが、「他の人とかぶりにくい」と、個性を求める顧客からは大変好評を得ているようです。SNS上でも「カラフルで華やかなのに上品」「どこにもないデザインが素敵」といった、その独創性を評価する声が多く見受けられ、ファッション感度の高い層からの反響も大きいと推察されます。
個性を追求する一方で、流行の要素もしっかりと取り入れている点は、このブランドの戦略的な巧みさと言えるでしょう。春夏商品では、スカート丈を長めにするロングスカートのトレンドや、人気の麻素材(リネン)を使用したアイテムを多数ラインナップしています。特徴的な柄や色にトレンドを融合させることで、おしゃれ上級者だけでなく、幅広い女性層を取り込む狙いがあるようです。
このグレースコンチネンタルを核とした新たなブランドの主要顧客層は、30代の働く女性ですが、広報担当者によれば「50~60代の女性まで、年齢を超えて顧客が拡大している」とのことです。普段使いのカジュアルな洋服から、パーティーシーンにぴったりのドレスまで、着用するシーンも多岐にわたっているのは、デザインの幅広さと質の高さの証でしょう。
グレースコンチネンタルのルーツは1997年、服飾品を扱うアイランド(東京・渋谷)によって誕生しました。これまで駅ビル系の商業施設を中心に店舗を展開してきましたが、オンワードホールディングスがアイランドの株式を取得し、今回の再構築に至りました。オンワードは「23区」や「自由区」といった百貨店を主力とするブランドを多く持っているため、これらのブランドを百貨店と競合する駅ビルなどの商業施設へ広げることにはこれまで難しさがありました。
しかしながら、アパレル市場全体の縮小が避けられない状況において、百貨店との協業だけでは今後の成長戦略を描くことは困難になってきています。そのため、今回のオリジネイティッド イン グレースコンチネンタルの成功をテコとして、今後は他の商業施設の開拓を積極的に進めるのでしょう。これは、オンワードグループ全体の新たな成長の柱を築くための、重要な一歩であると確信しています。2019年3月には、ルミネ横浜店(横浜市)に続き、あべのフープ店(大阪市)もオープンしており、今後の展開にますます期待が高まるブランドです。
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