🥩 岩手発!地域ブランド牛「きたかみ牛」で実現する【6次産業化】の成功モデル〜焼肉店「まるぎゅう」の驚異的なコスパの秘密〜

生産者が自ら加工や販売までを手がける「6次産業化」という取り組みが注目されて久しいですが、実際に成功させることは容易ではありません。これは、農産物の生産と、飲食店などのサービス業とでは、求められる経営のノウハウが大きく異なるため、多くのケースで壁にぶつかってしまうからです。しかし、岩手県北上市に拠点を置く日本最大級の農業生産法人である西部開発農産が展開する直営焼肉店「せいぶ農産発 焼肉DINING まるぎゅう」は、この難題を見事にクリアし、生産者直営店の強みを最大限に活かした数少ない成功例として大きな反響を呼んでいます。

西部開発農産の特筆すべき点は、単なる農業にとどまらないその一貫生産体制にあります。同社は離農する生産者から広大な田畑を引き受け、最先端の技術を導入して農業の効率化を徹底しています。さらに、和牛の生産から肥育までを一貫して手がけ、高品質なブランド牛「きたかみ牛」を生み出しているのです。2019年4月時点で、その農地面積は約850ヘクタール、和牛の飼育頭数は250頭を超えるという、まさにケタ違いのスケールで事業を展開しています。

この「まるぎゅう」は、最寄りのJR北上駅から車で約5分という、決して「駅チカ」とは言えない立地にもかかわらず、その人気ぶりは目覚ましいものがあります。店舗面積は約211平方メートルながら、多い月には約1,000万円強の月商を叩き出すほどの盛況ぶりです。この好調の最大の要因は、やはり自社農場産の「きたかみ牛」を驚くほど手頃な価格で提供できる点にあるでしょう。

ランチタイムには、そのおいしさが特に際立ちます。人気メニューの「きたかみ牛ハンバーグランチ」(1,280円)は、和牛特有の豊かな香りと共に熱々を楽しめる逸品です。また、「きたかみ牛サイコロステーキランチ」(1,180円)も、大ぶりにカットされたステーキが100グラムも付いてサラダも添えられる定食仕立てで、**高いコストパフォーマンス(コスパ)**が魅力です。さらに、ご飯には自社農場で特別に管理して育てたブランド米「ひとめぼれ」が使われており、その甘みとおいしさは、これだけでも食べに行く価値があると言えるほどです。

同社の照井勝也社長は、「牛肉、お米、味噌といった主要な食材は100パーセント自社製です。野菜については季節があるので通年では100パーセントとはいきませんが、春から秋にかけてはおよそ7割を自社の作物でまかなえています」と語っています。筆者自身もランチを試食しましたが、その質の高さと「コスパ」の良さには本当に驚かされました。平日は近隣の常連客で賑わい、休日は隣接する市からも客が足を運ぶというのも納得できる話です。

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驚異的な原価率を実現する「まるぎゅう」の創意工夫

「まるぎゅう」が破格の価格設定を実現できる背景には、徹底した自社食材の使い切りによる原価率の低減戦略があります。例えば、ハンバーグや牛すじといったメニューには、肉を成形する際に出る端材(切り落とし)を無駄なく使用しているのです。「きたかみ牛」は、和牛の格付けでも最高レベルとされるA4・A5クラスに限定されているため、こうした端材であっても十分に脂が乗っており、うま味が非常に強いのが特徴です。このように、良質な食材を余すことなく商品化する工夫こそが、安価でありながらも高品質なメニュー提供を可能にしています。

照井社長は学生時代から外食産業に興味を持ち、アルバイトから正社員としての勤務経験も持つという、飲食業界に精通した経歴の持ち主です。私は、この「まるぎゅう」の成功こそ、6次産業化の鍵が、生産者側の経営者がどれだけ飲食業界のノウハウを理解しているかという点にかかっている証拠だと考えます。多くの生産者経営者は「自慢の産物だから、流行りの業態で出せば必ず売れる」と思いがちですが、現場の運営や顧客サービスが絡む飲食業は、そんなに甘い世界ではないからです。

照井社長は、「手塩にかけて育てた農畜産物をお客様がおいしいと言ってくれるのが何よりの喜びです。そのお客様の笑顔や声をスタッフに見せ、現場のモチベーション向上につなげ、より良いものを作ろうという気持ちを高めたい」と、その想いを語ってくれました。単なる利益追求(もうけ)だけでなく、自社の作物に対する愛情と誇り、そしてお客様の喜びを追求する「+α(プラスアルファ)の気持ち」がなければ、6次産業化の成功は難しいと、この記事を執筆して改めて強く感じた次第です。

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