日本企業の国際競争力が低下していると言われる昨今、その真犯人は「ホワイトカラーの生産性の低さ」にあるのかもしれません。2019年09月13日、IT導入の在り方に一石を投じる鋭い指摘がなされました。多くの企業がIT化を推進している一方で、なぜか現場の負担が減らないというジレンマに陥っています。この問題の背景には、日本独自のシステム導入手法が深く関わっていると考えられます。SNS上でも「うちの会社もシステムに合わせるのではなく、システムを現場に合わせようとして失敗している」といった共感の声が目立ちます。
多くの企業が導入している「ERP(統合基幹業務システム)」は、会計や人事、販売といった企業の主要な業務を一元管理するITの心臓部です。本来、これは業務を効率化するためのツールですが、日本では導入時に「作りこみ(カスタマイズ)」を過度に行う傾向があります。その結果、システムのバージョンアップのたびに膨大な修正コストと時間が発生し、企業経営を圧迫する悩みの種となっているのです。本来、道具であるはずのシステムを維持するために、人間が多大な労力を割くという本末転倒な事態が起きています。
「独自仕様」が招く人材流動性の低下と無駄なコスト
各社が現場の事務フローに合わせてシステムを改造してしまうと、皮肉にも「人材の即戦力化」が阻害されます。例えば、同じERPソフトを使いこなしてきた優秀な人材を中途採用しても、会社ごとに作りこみが異なるため、操作を一から覚え直さなければなりません。これは、海外ではあり得ない日本特有の非効率さと言えるでしょう。監査法人へデータを提出する際も、出力形式がバラバラなために手作業でデータを再編集する作業に追われるなど、ホワイトカラーの貴重な時間が「付加価値を生まない作業」に消えてしまっています。
特に顕著なのが税務関係の業務です。法人税の納税書類という最終的なアウトプットはどの企業も同じはずなのに、そこに至る事務手順は千差万別です。税制改正やシステムの更新時期が来るたびに、各社が個別に大きなコストをかけて対応する様子は、経済全体で見れば巨額の損失と言わざるを得ません。現場のこだわりを尊重する日本企業の良さが、デジタル化の文脈では「標準化」を拒む壁となり、結果として自らの首を絞めているように感じられます。こうした「ガラパゴス化」した事務体制からの脱却が急務です。
デフォルト活用が切り拓く創造的なIT投資への道
現状を打破し、ホワイトカラーの生産性を劇的に向上させるためには、これまでの仕事の進め方を根本から見直す勇気が必要です。具体的には、SAPなどのERPソフトを、極力初期設定である「デフォルト」に近い状態で運用する体制へ移行すべきでしょう。システムに合わせて事務フローを標準化・合理化すれば、メンテナンスコストは大幅に削減されます。これにより、浮いた資金やリソースを新しい価値を生む「攻めのIT投資」へと振り向ける余裕が生まれるはずです。これこそが、企業が真に目指すべきデジタル変革の姿ではないでしょうか。
私自身の見解としても、日本企業は「自社は特別だ」という意識を捨て、世界基準の「ベストプラクティス(最も効率的な手法)」を素直に取り入れるべきだと考えます。標準化が進めば、専門知識を持つ人材がどの企業でも即戦力として活躍できるようになり、社会全体の労働市場も活性化するでしょう。ソフトウェア開発企業にとっても、目先の保守案件は減るかもしれませんが、より創造的で高度なシステム構築の需要が増えることは大きなチャンスです。2019年09月13日のこの提言は、日本が再び世界で戦うための重要な処方箋なのです。
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