🚀ベトナムの夢を乗せた国民車構想始動! ビングループが挑む年産50万台と日系メーカーとの熾烈な市場攻防

【ハノイ発】ベトナムの巨大コングロマリット、ビングループが、同国初の純国産ブランド車を世に送り出すという、まさに国家的なプロジェクトを本格的に始動させました。2019年6月14日、北部の港湾都市ハイフォン市にて、その生産を担う新工場の開所式が盛大に執り行われたのです。この工場は、当初からベトナムの年間自動車販売台数に匹敵する25万台という驚異的な年産能力を誇り、将来的にはその倍となる50万台を目指すという、非常に野心的な目標を掲げているのが印象的でございます。経済発展の旗印として、ベトナム政府もこの構想を全面的にバックアップしており、国の威信をかけた「国民車」は、アジアの成長市場で先行する日系メーカーなどの強豪に真っ向から戦いを挑むことになるでしょう。

この歴史的な式典において、グエン・スアン・フック首相は「ベトナム企業が自動車を製造できるとは誰も信じていなかったが、それを成し遂げた。ビングループの成功を確信している」と力強く述べられました。ビングループは、不動産事業を核としながら、ホテル、小売、医療など多岐にわたる分野で事業を展開する、ホーチミン証券取引所における時価総額トップの上場企業でございます。近年では、家電や自動車といった新たな領域にも積極的に進出し、その大胆な経営戦略で注目を集めています。

例えば、2018年12月に自社ブランドのスマートフォン「Vスマート」の製造・販売に乗り出したと思いきや、わずか半年後の2019年6月には、2020年初頭に年産能力を1億2500万台まで引き上げると公表しており、関係者を驚かせたばかりです。ライバルである日系メーカーなどからは「実現不可能」と冷ややかに見られていた自動車事業への参入も、構想からわずか2年弱という驚異的なスピードで工場開所式を迎えました。4000億円超という巨額の投資が行われたこのプロジェクトは、まず2019年6月17日に小型車「ファディル」(約200万円)を発売し、続いて7月にはセダン(約500万円)と多目的スポーツ車、いわゆるSUV(約700万円)を市場に投入する予定となっています。グエン・ベト・クアン副会長によると、すでに3モデル合計で1万台以上の注文を受けているとのことで、年内には環境に配慮した電気自動車、略してEVも販売する計画があり、その勢いは止まらないように感じられます。

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欧州の技術と政府の強力な支援、そしてSNSの反響

ビングループのこの電光石火の事業展開を支えているのが、欧州勢の技術力でございます。具体的には、車の骨格となるプラットフォーム、専門的には「車台(しゃだい)」と呼びますが、これにはBMW社の技術を導入し、ボッシュなどのドイツ企業を中心に20~30社もの協力のもと、部品調達を進めているのです。工場見学会に参加したドイツ人技師も「このプロジェクトは必ず成功する」と自信をのぞかせていました。しかし、その実態は欧州車の技術をベースにしているため、「国産車とは名ばかりではないか」といった辛辣な意見も聞かれるのも事実であり、今後の真の「国産化」への道のりが注目されます。

政府の支援も非常に強力で、輸入車への規制を急に強化し、品質検査などで煩雑な手続きを課すという、なりふり構わぬ姿勢を見せています。これは、東南アジア諸国連合(ASEAN)域内での関税撤廃という取り決めを実質的に骨抜きにする「非関税障壁」を設けることで、ライバルメーカーの勢いを削ごうという戦略であると見て間違いありません。こうした一連の動きは、ビングループを全面支援するというベトナム政府の強い意志の現れでしょう。

市場構造の変化を見据えるビングループは、ガソリン車では強豪と真正面から戦うのは難しいと認識しつつも、ラインナップを充実させ、将来的にはEVなどの環境対応車が普及することで「勢力図が変わる可能性がある」と見込んでいます。2019年5月には、韓国の大手財閥であるSKグループから約1100億円の出資を受けることを発表しましたが、EV向け電池の生産を手掛けるSKグループとの連携は、まさに将来を見据えた布石であると言えるでしょう。SNS上では「ベトナムの技術力がここまで来たか」「デザインがかっこいい」といった期待の声が多く見られる一方で、「欧州車のライセンス生産ではないか」「価格が高い」といった冷静な意見も飛び交っており、国民の関心の高さが伺える状況でございます。

ベトナムの経済状況に目を向けますと、2018年の1人当たりGDPは約2600ドルとなっており、自動車のような耐久消費財の普及が本格化するとされる3000ドルに迫る水準です。首都ハノイや経済都市ホーチミンではすでにこの水準を上回っており、国内の自動車販売台数は2019年に30万台を超え、過去最高を記録する見通しが立っています。これは、市場が大きく成長していることを示唆していると言えるでしょう。

しかし、成長市場とはいえ、ASEAN最大のインドネシア市場と比べると規模は4分の1程度に過ぎません。2018年のベトナム市場のメーカー別シェアを見ると、首位のトヨタ自動車が約24%という圧倒的な地位を築いています。トヨタはビングループの動向を注視しつつ、2019年6月から人気車種であるSUV「フォーチュナー」の現地生産を再開するなど、市場の牙城を守る構えです。1996年にベトナム市場に参入して以来の実績を持つトヨタに加え、マツダやホンダなど他の日系メーカーも高いシェアを占めており、ビングループを包囲する鉄壁のライバル網は確固たるものです。

成功への道のり:過去の挑戦と今後の展望

さらに、東南アジア域内では、自動車産業の分業体制がすでにほぼ完成しており、部品産業の誘致や育成には相当な時間がかかります。エンジンなどの基幹部品は当面輸入に頼らざるを得ない状況で、ビングループがコスト競争力を確保しながら販売台数を伸ばすのは、決して容易なことではないと推察されます。実は、ベトナムではこれまでも「国民車」の生産に挑戦し、幾度となく失敗を繰り返してきた歴史があるのです。例えば、地場のスアンキエン自動車が「ビナスキ」という国産ブランド車を世に出そうとしましたが、資金不足などにより公式販売に至らず、2015年までに事実上計画を中止せざるを得ませんでした。当時の創業者で会長であったブイ・ゴック・フエン氏が「国産車への支援が少なすぎる」と不満を漏らしていたように、政府との連携不足も失敗の一因とされています。

私見ではございますが、ビングループのこの国民車構想は、ベトナムの経済的自立と技術力の象徴として、その意義は非常に大きいと感じます。過去の失敗例を乗り越えるためにも、政府による強力な後押しと、ビングループの持つ資本力とスピード感のある経営手腕は、成功の鍵となるでしょう。しかし、その一方で、欧州技術への依存度が高い現状や、日系メーカーとのコスト・品質面での競争を勝ち抜くには、真の技術的な内製化とサプライチェーンの強化が不可欠であると考えます。

ビングループは、将来的に掲げる年50万台の生産のうち、かなりの割合を輸出に振り向けることを想定しています。政府の全面的な支援を受けながら、長年の実績を持つライバルに伍する製品力と販売網を確立できるかが、最大の焦点となるでしょう。まずは、自国の市場で確固たる足場を築くことができなければ、この壮大な国民車構想は「絵に描いた餅」、つまり実現性のない計画に終わってしまう危険性もはらんでいるのです。しかし、この挑戦は、新興国が成熟した産業に挑む希望の光でもあり、今後の動向から目が離せません。

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