今、東南アジアのタイが、モバイルバンキングという分野で驚くべき躍進を遂げているのをご存じでしょうか。イギリスの調査会社ウィー・アー・ソーシャルなどが2019年6月時点で公表した調査結果によりますと、2018年におけるタイのモバイルバンキング普及率は74%という高い水準に達し、調査対象となった41カ国の中で世界首位を獲得したのです。これは、デジタル化が遅れているとされる日本はもちろんのこと、電子決済の先進国として知られる中国と比較しても、その普及の度合いが進んでいることを示しています。この急速な普及の背景には、タイの銀行業界が仕掛けた大胆な戦略が関係しているようです。
このモバイルバンキングの普及を決定づけた最大の要因は、主要な銀行が2018年にインターネット経由の送金手数料を相次いで無料化したことです。銀行側がデジタル化への移行を積極的に推し進める姿勢を見せた結果、国民はスマートフォンを使った銀行取引をためらうことなく受け入れ、モバイルバンキングを通じた支払いがクレジットカードよりも先に広く社会に浸透しました。このように、利用者のメリットを最優先した明確な施策が、一気にデジタル金融を加速させたと言えるでしょう。また、モバイルバンキングとは、スマートフォンなどの携帯端末を通じて、残高照会や送金などの銀行取引ができるサービスのことです。
この驚くべき普及率に対して、SNS上でも大きな反響が見られました。「手数料無料は利用者にとって革命的だ」「タイの銀行は本当にユーザーファーストだ」といった称賛の声が多数を占めています。さらに、「日本も早くこの流れに続いてほしい」といった、日本の金融サービスのデジタル化の遅れに対する焦燥感を示す意見も散見されました。手数料の無料化は、経済的な負担軽減だけでなく、銀行サービスをより身近なものに変えるという意識改革にも繋がったと評価できるでしょう。
デジタル化を加速させる「国の若さ」という強み
タイにおけるデジタル化が一足飛びに進んだ背景には、もう一つ重要な要素があります。それは、国民の平均年齢の若さです。タイの中央年齢は36.9歳と比較的若く、新しい技術やサービスを積極的に受け入れる国民性が根付いていると考えられています。中央年齢とは、人口全体を年齢順に並べた際に、ちょうど真ん中に位置する人の年齢を指し、その国の人口構成の若さを測る指標の一つです。若年層が多い社会では、技術革新に対する心理的な障壁が低く、利便性の高いモバイルサービスが瞬く間に浸透しやすい傾向にあるのです。
私見として申し上げれば、タイのモバイルバンキングの成功は、単なる技術導入に留まらず、「ユーザーにとっての利便性」を最優先した戦略と、それを受け入れる国民性が見事に融合した結果だと考えられます。手数料を無料にするというインセンティブ(誘因)と、若年層が中心となって新しい体験を享受する土壌が揃ったことで、これほどまでの急成長が実現したのでしょう。これは、デジタル化を進めたいと考える他の国々にとって、非常に示唆に富む事例となるに違いありません。
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