2019年09月14日現在、世界のIT業界を席巻する巨大企業の代名詞として「GAFA」と「BATH」という言葉が定着しています。GAFAはグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルの米4強。対するBATHはバイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイの中国4強を指します。まるで太陽を挟んで地球と対極に位置する「パラレルワールド」のように、米中は独自の経済圏を構築しつつあるのです。
かつて中国企業は、米国のビジネスモデルを模倣する「タイムマシン経営」の代表格でした。これは米国で流行したサービスがいずれ他国でも普及することを見越し、時間差を利用して自国で展開する手法です。アリババの馬雲(ジャック・マー)元会長も、20年前の創業当初は「中国版アマゾン」を目指していました。しかし、2019年3月期には流通額が90兆円を超え、今や世界最大のEC企業へと変貌を遂げたのです。
もはやコピーではない!世界をリードするBATHの独自技術
SNS上では「どうせパクリでしょ?」という冷ややかな声も一部で見られますが、実態は大きく異なります。特にアリババが提供するキャッシュレス決済や、銀行・保険を統合した「インクルーシブ(包摂的)金融」は、世界に先駆けた革新的なサービスです。これは貧富の差に関わらず、誰もが金融サービスを受けられる仕組みを指します。今やGAFA側が中国の背中を追い、日本でもフィンテック旋風を巻き起こす源流となっているのです。
アリババの真の恐ろしさは、単なる物販サイトから「プラットフォームのプラットフォーム」へ進化している点にあります。自社で直接商売をするのではなく、決済や物流インフラを他社に提供し、フランチャイズ料で稼ぐコンビニのようなモデルを構築しつつあるのです。バイドゥの自動運転技術やファーウェイの5G技術も、すでに世界標準を狙う位置にあります。彼らを「コピー企業」と呼ぶ時代は、2019年の今、完全に終焉を迎えました。
さらに中国では「TMD(バイトダンス、美団点評、滴滴出行)」など、次世代のスター企業が続々と誕生しています。米中貿易摩擦により両国の経済圏が切り離される「隔絶」が進めば、BATHにとって競合のGAFAを気にせず自国や新興国市場を独占できる追い風になるかもしれません。このパラレルワールド化は、グローバル経済における予測不能な新局面へと私たちを誘っています。
日本企業への警鐘:フロンティア精神を呼び覚ませ
ひるがえって、我が国日本はどうでしょうか。かつてはタイムマシン経営で成功を収めたベンチャーもありましたが、BATHのように世界を震撼させる存在には至っていません。国内市場の成功に安住し、未知の領域へ踏み出す「フロンティア精神」が希薄になっているのではないかと危惧しています。人口規模こそ違えど、技術力や独創性において日本企業が劣っているとは思いません。
BATHの台頭は、私たちが当たり前だと思っていた「米国中心のIT秩序」が揺らいでいることを示しています。今こそ日本企業も、米中の対立構造を冷静に分析し、和製GAFAや和製BATHを生み出すべく再挑戦すべき時です。2019年という激動の年、私たちは既存の枠組みに囚われない、全く新しい経営モデルを模索する勇気を持つべきでしょう。
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