2020年11月の米大統領選に向けた野党・民主党の指名争いが、いよいよ熱を帯びてきました。2019年09月12日、南部テキサス州ヒューストンで第3回テレビ討論会が開催され、選抜された10人の候補者が火花を散らしています。これまでは乱立状態だった候補者も、厳しい参加条件によって半分に絞り込まれ、生き残りをかけた「選別のステージ」へと突入した印象です。
今回の討論会で注目を集めたのは、支持率トップを走るジョー・バイデン前副大統領に対し、下位候補たちが放ったなりふり構わぬ攻撃でしょう。カストロ元住宅都市開発長官は、バイデン氏が都合の良い時だけオバマ前大統領との絆を強調すると皮肉を浴びせました。さらに実業家のヤン氏は、支持者に月1000ドルを配布するという驚きの公約をぶち上げ、SNS上でも「斬新すぎる」「話題作りか」と大きな反響を呼んでいます。
しかし、本質的な対立の軸は「中道派」と「リベラル派」の激突にあります。現状はバイデン氏が首位を堅持していますが、バーニー・サンダース上院議員とエリザベス・ウォーレン上院議員の進歩的な二人が猛追する展開です。特にサンダース氏は、国民全員が公的医療保険に加入する「国民皆保険(メディケア・フォー・オール)」を主張しており、現状の制度を段階的に改善しようとするバイデン氏と真っ向から対立しています。
「社会主義」のレッテル貼りまで?激化する医療と貿易のルート争い
討論会の中でバイデン氏は、サンダース氏の急進的な政策を「社会主義的だ」と強く批判しました。これは本来、共和党のトランプ大統領が民主党を攻撃する際に用いる手法ですが、身内であるバイデン氏がこの言葉を使ったことに、党内の亀裂の深さが伺えます。専門用語としての「社会主義」は、富の再分配を重視する思想を指しますが、米国では保守層から忌避される言葉であり、バイデン氏の焦りとも取れる異例の言動です。
貿易政策においても、オバマ政権下で環太平洋経済連携協定(TPP)を推進したバイデン氏に対し、サンダース氏は自由貿易が国内雇用を奪うとして一貫して反対の立場を強調しました。SNSでは「バイデンは過去の人に見える」という厳しい声がある一方で、「現実的なのはバイデンだ」という擁護論も飛び交っています。有権者は、理想の変革を取るか、確実にトランプ氏に勝てる安定を取るかの二択を迫られている状況です。
2020年02月のアイオワ州党員集会まで残り4カ月あまりとなり、脱落する候補者も増えてくるでしょう。16年の前回選挙では、党内対立が激化した結果、本選で民主党支持層が分裂し、トランプ氏の勝利を許した苦い経験があります。今回も同様の泥仕合が続けば、最大の目標である「打倒トランプ」が危うくなるリスクを孕んでおり、編集部としては、この熱狂が党の団結に繋がるのか、あるいは崩壊の序曲となるのか注視が必要です。
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