🔥復活ソニーに米ファンドが「再改革」を要求!半導体分離とスマホ不振の行方を追う【コングロマリット経営の是非】

2019年6月15日のビジネスTODAY記事によると、エレクトロニクス大手のソニーに対して、投資家の視線が再び厳しさを増している状況が明らかになりました。あの著名な米国のヘッジファンドであるサード・ポイントが、再びソニー株を取得し、大規模な構造改革を要求したのです。この要求の柱は、好調な半導体事業の切り離しと、慢性的に赤字が続くスマートフォン(スマホ)事業の再建。せっかく復活を遂げたソニーですが、次の成長を牽引する事業が見えにくいことから、株価の低迷が続き、コングロマリット(複合企業)としての経営体制そのものが、改めて厳しい問いに直面しています。

サード・ポイントは、2019年6月13日に公開した投資家向けの書簡で、「半導体を切り離し、**『ソニーテクノロジーズ』**として上場させるべきだ」という大胆な提案を公にしました。これは、同ファンドがソニー株を約1600億円(15億ドル)分保有していることを明かした上での要求で、出資比率は数パーセント程度と推測されています。サード・ポイントは、著名投資家ダニエル・ローブ氏が率いることで知られ、実は2013年にもソニー株を取得し、当時はエンターテインメント事業の分離を求めていました。その要求は実現せず、2014年には保有株を売却していた経緯がありますので、今回の再取得と新たな提案は、大きな注目を集めています。

サード・ポイントが目をつけたソニーの半導体事業は、特にスマートフォン向け画像センサーの分野で世界シェア首位を誇る、ソニーの優良事業です。画像センサーとは、カメラなどで光を受けてデジタル信号に変換する部品のことで、スマホカメラの高機能化を支える主要技術になります。2018年度の営業利益は連結全体の約15パーセントを占める1439億円を稼ぎ出しました。サード・ポイントは、この半導体事業を独立させて上場させれば、5年以内に時価総額が今のソニー全体の5割強にあたる約3兆7800億円(350億ドル)に達すると試算しているのです。

しかし、「高収益の半導体を切り離すのは現実的ではない」という声が、ソニー株を保有する機関投資家の中からは多く聞かれます。半導体は、ソニーの成長戦略において最も重要な事業の一つであり、現時点では分離という選択肢は取りにくいでしょう。それでもサード・ポイントが半導体の独立を求める背景には、ソニーの株価が2018年9月の高値と比べ約2割も安い水準(14日終値は5498円)で低迷している現実があります。投資家から見れば、株価が回復しないのであれば、収益性の高い半導体だけでも別会社として上場した方が、投資の機会が広がり、資産価値が上がると判断されるわけです。

さらにサード・ポイントの要求は半導体にとどまらず、ソニーがゲームや音楽などのエンタメ分野に注力するため、金融子会社の**ソニーフィナンシャルホールディングス(ソニーFH)**や、医療情報サービスのエムスリーなどの株式、そして音楽配信のスポティファイ・テクノロジー株の売却も要求しています。これに対しソニーは、「提案は真摯に受け止め、建設的な対話を続ける」とコメントを発表しました。提案が伝わった2019年6月14日の株式市場では、ソニー株が前日比3パーセント上昇するという反響がありました。これは、「サード・ポイントがソニー株を買い増すのではないか」という思惑から、株価が押し上げられたと分析されています。

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📱慢性赤字のスマホ事業再建とコングロマリット経営の課題

今回のサード・ポイントの提案によって、ソニーが複合企業としてその成長性を改めて問われることになりました。その象徴的な事業が、「エクスペリア」ブランドで展開するスマートフォン事業です。かつて2013年に当時の平井一夫社長が「世界3位を目指す」と宣言しましたが、米アップルや韓国のサムスン電子などとの激しい競争の結果、現在のシェアは1パーセント未満に落ち込んでしまいました。この事業は慢性的な赤字が続き、過去10年間での累計赤字額は約5000億円規模に上ると見られています。これは、かつて10年間で8000億円の赤字を出したテレビ事業と似た、極めて厳しい状況と言えるでしょう。

ソニーは、このスマホ事業の黒字化を目指し、2020年度には運営コストを2017年度比で半減させるという構造改革を進めています。具体的には、上海工場の閉鎖や欧州の営業機能の統合、さらには東南アジアや南米市場からの撤退を決め、大規模な人員削減にも踏み切っているのです。2019年6月14日に国内で発売された最新商品「エクスペリア1」は、高画質の4Kテレビ「ブラビア」などの技術を応用し、動画再生などで質の高い映像を求めるユーザー層を取り込む戦略です。「万人受けする商品とは決別する」と、スマホ子会社のソニーモバイルコミュニケーションズの岸田光哉社長が述べるように、高価格路線と構造改革で復活を遂げたテレビやデジタルカメラ事業の成功体験を再現しようとしている姿が見て取れます。

しかしながら、国内市場では携帯料金のルール変更が懸念材料として浮上しています。端末の値引きを2万円までとするルールが導入される見通しで、国内価格が10万円程度の高価格帯スマホの買い控えにつながる可能性があります。アップルの「iPhone XS Max」(約14万~18万円)よりは安価ですが、ソニーモバイルの岸田社長も「消費者の目は厳しくなる」と警戒感を示していました。私の意見としては、ソニーのスマホ事業が起死回生を図るには、単なるハードウェアの技術力だけでなく、ソニーグループ全体のエンタメコンテンツやサービスとの連携を深め、より付加価値の高い体験を提供する必要があると考えられます。

今回のサード・ポイントの要求は、実現するかどうかは不透明です。しかし、ソニーとしてもゼロ回答で済ませることはできないはずです。前回2013年にサード・ポイントと対峙した際は、リストラによって業績が回復し、株価が上昇したため、ファンドも保有株をうまく売却できたと見られています。今回、状況が前回と大きく違うのは、ソニーの業績自体は好調なのに、株価が上向いていないという点です。今年度の連結営業利益は過去2番目に高い8100億円となる見通しですが、「次の成長を牽引する事業が見えない」という投資家の懸念が、株価低迷の根底にあるのでしょう。

米マイクロソフトとのゲームのクラウド配信サービスでの提携など、既存事業での対策は進めていますが、一部の国内証券からは「平井社長の時代と事業構造は変わっていない」という厳しい声も上がっています。また、「現実的な選択肢として、金融子会社であるソニーFHの再編(完全子会社化や売却)もありうる」という見方もあります。吉田憲一郎社長は、好業績の裏側で次の成長戦略と、長年の懸案であるスマホ事業の再生、そしてコングロマリット経営の是非という、非常に難しい経営のかじ取りを迫られている最中であると言えるでしょう。

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