兵庫県の農業が、伝統的な「経験と勘」の世界から、最先端のデータサイエンスを活用した戦略的な産業へと進化を遂げようとしています。2019年09月13日、兵庫県信用農業協同組合連合会(JA兵庫信連)は、県内の農業収益を底上げすることを目指し、兵庫県立大学と包括的な連携を行うことを発表しました。この試みは、地域経済の柱である農業にデジタル技術を融合させる画期的な一歩として、地元住民や関係者の間で大きな期待を集めているようです。
今回の提携で重要な役割を担うのは、同大学に新設されたばかりの社会情報科学部です。ここでは、膨大な情報から価値ある法則を見つけ出す専門家「データサイエンティスト」の育成に注力しています。データサイエンティストとは、単に計算が得意な人ではありません。統計学やプログラミングを駆使して「いつ、何を、どれだけ作れば利益が最大化するか」といった課題を論理的に解決する、いわば情報の料理人のような存在であり、農業の効率化には欠かせない人材と言えるでしょう。
具体的な仕組みとしては、JA兵庫信連が中心となり、個人農家や農業法人、取引先企業から丁寧な合意を得た上で、日々の栽培記録や肥料の投入量といった現場のデータを収集します。それらを大学側のチームが精密に解析し、農地の規模に応じた最適な肥料の分量を割り出すなどの具体的なアドバイスを導き出す計画です。SNS上でも「若手農家の励みになる」「効率化で後継ぎ問題も解消してほしい」といった、スマート農業への期待を込めた前向きなコメントが目立ち始めています。
経験からデータへ!5兆円の基盤を活かす営農支援の新機軸
JA兵庫信連の津田智之常務理事は、これまで多くの農作業が長年の熟練した感覚に依存していた現状を指摘しています。どのタイミングで市場へ出荷すれば最も高い価格で販売できるかといった「商売のタイミング」についても、客観的なデータに基づいた法則性を見出すことで、農家の手取り額を増やす仕組みを構築したいと考えているようです。コストを削るだけでなく、売上を最大化する攻めの姿勢こそが、これからの営農支援には不可欠な要素となってくるでしょう。
兵庫県内に14あるJAグループの信用事業を束ねるJA兵庫信連は、県内の金融機関の中でも群を抜く約5兆4000億円という預金残高を誇ります。約200万件に及ぶ圧倒的な顧客口座数は、それ自体が兵庫県の経済活動そのものを映し出す鏡でもあります。この強固なネットワークと資金力を背景に、大学の知見を現場に落とし込むことができれば、日本の農業全体が抱える「収益性の低さ」という長年の課題を突破するモデルケースになるはずです。
私個人の見解としては、この取り組みは単なる効率化を超えた、農業のブランディング化に繋がると確信しています。データによって品質や供給が安定すれば、消費者にとっても「安心で確かな農産物」としての価値が高まるからです。AIやデータ活用は冷たい印象を持たれがちですが、実際には農家の皆様の大切な努力を適正な利益に変換するための、非常に温かい支援ツールになり得ます。今後、兵庫からどのような成功事例が生まれるのか、その動向から目が離せません。
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