2019年09月15日現在、日本の地域金融機関で働く人々の環境が、今まさに劇的な変化を遂げようとしています。これまで利益相反、つまり「銀行の利益と顧客の利益が衝突してしまうこと」への懸念から、他業種に比べて副業には極めて慎重だった地方銀行や信用金庫が、続々とその門戸を開き始めているのです。多様な働き方を認めることで、職場の魅力を高めたいという切実な願いがそこには込められています。
京都府宮津市に拠点を置く京都北都信用金庫では、2019年04月から全国の信金に先駆けて副業を試験的に解禁しました。対象となるのは勤続3年以上の正社員やパートを含む約740人で、2019年10月には就業規則を正式に改定する予定です。土日祝日に限定し、週40時間の範囲内というルールのもと、すでに営業担当の男性職員が地元の飲食店で汗を流すなど、地域社会に溶け込む新しい姿が見え始めています。
こうした動きに対し、SNSやネット上では「堅いイメージの金融マンが街のお店で働くのは新鮮」「地域の課題を肌で感じる良い機会になりそう」といったポジティブな反響が目立ちます。一方で、過疎化に悩む地元事業者からは、金融のプロである信金職員にぜひ副業で来てほしいという熱烈なラブコールが相次いでいるようです。人手不足に悩む地方にとって、この制度は救世主となる可能性を秘めていると言えるでしょう。
多様なキャリアが拓く金融機関の未来
地方銀行でも、東京スター銀行が2019年04月に入社4年目以上の行員を対象に副業を認めました。すでに25人もの行員が、大学講師や管理栄養士、アプリ制作といった専門的な分野で活躍しています。驚くべきことに、日本サッカー協会に登録して選手のエージェント業務、いわゆる「代理人」として契約交渉をサポートする強者まで現れており、ビジネスの多角化に対応できるタフな人材育成が期待されています。
しかし、こうした改革の背景には厳しい現実も横たわっています。ある調査によると、2020年卒業予定の学生が「敬遠したい業界」として、地方銀行や信用金庫が上位にランクインしてしまいました。長引く低金利政策により経営環境が厳しさを増すなか、若者たちの目には保守的な組織として映っているのかもしれません。だからこそ、副業解禁によって柔軟な組織であることをアピールし、優秀な学生を惹きつける狙いがあるのです。
私個人の見解としては、この流れは単なる「福利厚生」の枠を超えた、地方創生の鍵になると確信しています。金融機関の職員が外の世界を知ることは、本業でのコンサルティング能力向上に直結するはずです。福島県の東邦銀行も2019年06月から全行員3000人を対象に副業を認めるなど、この潮流は止まりません。2019年は、地域金融機関が「街の金庫番」から「地域のプロデューサー」へと進化する、記念すべき1年になるのではないでしょうか。
コメント