富良野の森で復活!倉本聰氏が惚れた名店「ル・ゴロワ」が贈る究極の地産地消イタリアン

かつて東京・渋谷の地で多くの食通を虜にし、俳優の故・三国連太郎さんも足繁く通った伝説のフレンチレストラン「ル・ゴロワ」。1997年のオープン以来、選べるプリフィクススタイルをいち早く導入し、カウンター越しの温かなおもてなしで人気を博したあの名店が、2018年05月、北海道・富良野の地で劇的な復活を遂げました。

新たな舞台は「新富良野プリンスホテル」からほど近い、静かな森に抱かれたロケーションです。この移転をプロデュースしたのは、国民的ドラマ『北の国から』の生みの親として知られる脚本家・倉本聰氏。ホテル側から「富良野を象徴するレストランを」と相談を受けた倉本氏が、かつて北海道への愛を熱く語っていたシェフの大塚健一さんとマダムの敬子さん夫妻に白羽の矢を立てたのです。

長年親しまれた東京の店を閉める決断は、開店時以上のエネルギーを要する苦渋の選択でした。常連客からの強い引き止めもありましたが、夫妻は新天地での挑戦を決意します。驚くべきは、フレンチの名手であった二人が、倉本氏の「北海道にはイタリア料理が合う」という助言を受け入れ、ジャンルをイタリアンへと転換した点にあります。

素材の生命力が宿る「生まれたての食材」という贅沢

夫妻は本場イタリアを巡り、熟練のフレンチ技法にイタリアのエッセンスをどう融合させるか模索し続けました。その結晶が、名物「ル・ゴロワサラダ」です。タラバガニのフリットやエゾシカのテリーヌが彩り豊かな野菜を囲む一皿は、もはやメインディッシュ級の迫力。山ワサビのドレッシングが、北海道産食材の個性を鮮烈に引き立てます。

メインの「茶路めん羊牧場 仔羊骨付き肉のグリル」は、釧路で大切に育てられた羊の旨味が溢れ出す逸品です。また、パティシエールである敬子さん自慢の「グレープフルーツプリン」も健在。濃厚な卵のコクと、甘く煮た皮のほろ苦さが絶妙なハーモニーを奏でます。SNS上でも「野菜の味が濃い!」「東京時代の味が進化している」と、その鮮度に驚く声が広がっています。

大塚シェフは「料理の味は土地の味」と断言します。毎朝生産者を訪ね、畑の様子を確認する中で、彼は「生まれたての野菜」が持つ圧倒的な力強さを確信したといいます。過度な加工に頼らず、素材が最も輝く瞬間を見極める。これこそが、大塚流イタリアンの真髄です。地産地消(地元で生産されたものをその土地で消費すること)の理想形がここにあります。

かつての常連客が遠路はるばる富良野を訪れることも多く、その再会が二人の何よりの励みとなっています。倉本聰氏も愛犬と共にふらりと現れ、この最高のロケーションと料理に満足げな笑みを浮かべています。東京での「地産“都”消」から、真の「地産地消」へ。2019年09月15日現在、予約制で営業する二人の夢は、朝食への挑戦や特製ドレッシングの製品化など、富良野の森でどこまでも広がっています。

一編集者の視点として、築き上げたキャリアを一度リセットし、還暦を前に全く新しいジャンルと土地に飛び込む夫妻の勇気には敬意を表さずにはいられません。効率重視の現代において、土の香りがする食材を求めて自ら足を運ぶその姿勢こそ、真に贅沢な食体験を生む源泉なのでしょう。富良野の風土と二人の情熱が織りなす一皿は、訪れる者の心まで豊かにしてくれるはずです。

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