2019年09月15日現在、瀬戸内海の穏やかな海原に朱色の鳥居が美しく映える安芸の宮島は、多くの旅人を魅了し続けています。この地に鎮座する厳島神社は、今から1400年以上も昔の593年、推古天皇の即位した年に佐伯鞍職という有力な豪族によって創建されたと伝えられています。海を敷地に見立てた独創的な建築様式は、まさに日本人の繊細な美意識の結晶と言えるでしょう。
この名社の運命を大きく変えたのが、平安時代の寵児である平清盛です。1146年02月に安芸守に任ぜられた清盛は、平家一門の隆盛を願って社殿の造営に力を注ぎました。現在、私たちは海上に立つ壮大な大鳥居を目にすることができますが、実は2019年09月現在、この大鳥居は大規模な修理工事の真っ最中です。歴史を後世に繋ぐための大切なプロセスを、今まさに目の当たりにしているのです。
厳島神社に祀られているのは「宗像三女神」と呼ばれる市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の三柱です。清盛が奉納した「平家納経」は、当時の工芸技術を凝縮した国宝であり、豪華絢爛な装飾は見る者を圧倒します。SNSでは「修理中の鳥居も今しか見られない貴重な姿」と話題になっており、工事の囲いすらも一つの景観として受け入れる現代的な楽しみ方が広がっているようです。
時代の荒波に揉まれ、一時は荒廃した時期もありましたが、戦国時代の覇者である毛利元就や豊臣秀吉らによって、社殿は再びその輝きを取り戻しました。1555年10月の厳島合戦を経て、この地は政治的にも宗教的にも重要な拠点として守り抜かれたのです。時の権力者たちが競うようにこの社を崇敬した事実は、厳島が持つ圧倒的な霊力を証明していると言えるのではないでしょうか。
江戸時代に入ると、厳島は信仰の場から庶民の憧れの観光地へと姿を変えていきました。船の上で優雅な雅楽を奏でる「管弦祭」などの伝統行事は、往時の華やかさを今に伝える文化遺産です。1923年03月には国の史跡名勝に、そして1996年12月にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。世界が認めたこの美しさは、私たちが誇るべき宝物です。
個人的な見解を述べさせていただくと、潮の満ち引きによって表情を変える厳島神社の姿は、自然と人間の調和を象徴しているように感じられます。変化し続ける海の上に、あえて普遍的な祈りの場を設けた先人の感性には驚かされるばかりです。SNSで映える写真を撮るのも素敵ですが、潮騒に耳を澄ませながら、清盛が見たであろう景色に思いを馳せる時間は何よりの贅沢となるでしょう。
コメント