📈投資信託市場に4カ月ぶり資金流入超!バランス型投信への集中が示すリスク回避と投資家心理

2019年5月の投資信託市場に、明るい兆しが見えています。QUICK資産運用研究所の調査によると、同月の投信市場全体での資金流入額(設定額から解約額を差し引いた額)は3,736億円に達し、実に4カ月ぶりの流入超を記録しました。これは、2018年10月以来の高水準で、市場に活気が戻りつつあることを示唆しています。特に注目すべきは、米国による中国製品への制裁関税引き上げ表明など、外部環境の不透明感が強まる中で、リスクを抑えた運用商品への資金シフトが鮮明になった点でしょう。

このような市場環境において、運用資産を国内外の株式や債券、不動産投信(REIT)などへ分散投資することで、価格変動リスクの低減を目指す「バランス型投信」への資金流入が際立ちました。バランス型投信は2カ月ぶりの流入超となり、その額は1,124億円にも上っています。これは2018年8月以来の大きな規模であり、投資家の間でリスクを極力避けたいという意識が非常に高まっていることが分かります。具体的には、基準価格の変動リスクを年率3%程度に抑えることを目標とする「東京海上・円資産バランスファンド」(東京海上アセットマネジメント)などが、特に人気を集めているようです。

また、日本株の動向に連動する「国内株式型」への資金流入も注目すべき動きです。4月には大幅な流出超だった国内株式型ですが、5月は一転して689億円の流入超に転じました。これは、日経平均株価が心理的な節目である2万1,000円を割り込んだことで、現在の日本株が「割安」であると判断し、安くなったタイミングで投資信託を購入する逆張り的な動きが見られたためと考えられます。ただし、この動きは個人投資家全体が前のめりになっているというよりも、むしろ慎重な投資家心理を反映しているという指摘もあります。

SNS上でも、「株安で投信の積み立てを増やした」「ボーナスでリスクの低いバランス型を始めた」といった声が見られ、相場の下落をチャンスと捉える層と、リスク回避を優先する層の二極化がうかがえます。SMBC信託銀行プレスティアの山口真弘シニアマーケットアナリストも、「バランス型や債券型などでリスクを落として運用する傾向が見られ、株式型の投資熱が高まっている印象はない」と述べられており、市場全体としては、依然として警戒感が強い状況だと言えるでしょう。

さらに詳しく見ると、投資家の選択は、運用会社が銘柄選定や投資比率の調整を積極的に行う「アクティブ型」よりも、日経平均株価などの指数に連動するように運用する「インデックス型」に資金を振り向ける傾向が目立ちました。「日経225ノーロードオープン」(アセットマネジメントOne)や「しんきんインデックスファンド225」(しんきんアセットマネジメント投信)などが資金を集めており、コストを抑えつつ、市場全体の値動きに連動するパッシブ運用を好む投資家が多いようです。これは、外部環境の不透明さから、プロの運用手腕に頼るよりも、手堅く市場平均のリターンを狙いたいという堅実な意向の表れではないでしょうか。

一方、「新興国株式型」は9カ月連続の流出超という結果になりました。個別では、「野村インド株投資」(野村アセットマネジメント)などから資金が流出しています。インド株相場は、5月の月央までは軟調に推移していましたが、総選挙での与党勝利を受けて急反発を見せました。これに伴い、当該ファンドの基準価格も月末にかけて回復しているため、投資家の中には、価格回復を好機と捉えて換金売りに動いた層もいたと考えられます。長期間にわたる流出超は、投資家が新興国市場のハイリスク・ハイリターンな特性から、一時的に距離を置いている状況を示唆しているでしょう。

筆者としては、今回の資金流入超は、投資家が市場の調整局面を冷静に見極め、リスク許容度に応じて適切な投資行動を取っている証だと感じています。特にバランス型投信への集中は、「投資を継続したいが、急激な下落は避けたい」という、多くの個人投資家の等身大の願いを反映した動きです。外部環境が不安定な今こそ、自分の資産状況と向き合い、リスクを分散しながら中長期的な視点で資産形成に取り組む重要性を再認識する機会になるのではないでしょうか。投資信託は、忙しい現代人にとって最適な分散投資手段の一つだと言えるでしょう。

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