【異文化共生】日本社会のリアル!急成長する外国人コミュニティー「リトル・インディア」「ヤシオスタン」が描く新しい日本の姿

アジア専門ライターの室橋裕和氏が、約10年ぶりに日本へ帰国した際に肌で感じた「空気の変化」が、外国人コミュニティーを巡る取材の出発点になったそうです。帰国後、まず氏の目に留まったのは、コンビニエンスストアや飲食店で働く多くの外国人の存在でした。タイで長く生活し、異文化への寛容さに触れてきた室橋氏にとって、首都圏などで急速に形成されつつある外国人コミュニティーの日常は、大変興味深いテーマとなったことでしょう。

これらのコミュニティーは、それぞれがユニークな経緯で誕生しています。例えば、東京都江戸川区の西葛西に点在する「リトル・インディア」は、西葛西駅周辺の住宅街にその姿を見せています。これは、かつて「2000年問題」(コンピューターが西暦2000年を正しく認識できない可能性があり、大規模な誤作動が懸念された技術的な問題)に対応するため、日本へ招集されたインド人IT技術者たちによって築かれたのです。約40年前に来日していた紅茶貿易商というパイオニアが、彼らの生活をサポートすべく、食材店やレストランなどの生活基盤を整備したことが、コミュニティー形成の大きな支えとなったといえるでしょう。

また、埼玉県八潮市にはパキスタンの中古車商が集まる「ヤシオスタン」、そして東京・高田馬場には難民の人々が作り上げた「リトル・ヤンゴン」があります。さらに、静岡県御殿場市では、大型アウトレットモールで働く中国人店員たちが、新たな集落を形成しつつあるといった、まさに日本社会の現在進行形の変化が描かれています。これらのコミュニティーが生まれる背景は、経済的な必要性や、時には国際的な情勢といった様々な要因が複雑に絡み合っていることが分かります。

室橋氏は、海外の日本人コミュニティーの状況も踏まえつつ、これらの外国人コミュニティーを分析しています。異文化の中で生活する上で、生活基盤としてコミュニティーを持つことは不可欠であり、それは「殻に閉じこもっている」状態ではなく、その基盤の上で、現地社会とゆるやかにつながりを持つための重要なステップであると指摘されています。私もこの視点に深く共感します。異国で生活の安心感を確保することは、結果として現地社会との円滑な交流を可能にするための土台となるからです。

かつて学生時代にバックパッカーとしてアジアを旅し、その流れでライターとなってタイで暮らした経験を持つ室橋氏は、日本とタイの国民性の違いを比較しています。タイの人々は「おおらかで寛容」、悪く言えば「イイカゲンでだらしない」気風がある一方で、在日外国人は日本社会に非常に気を使い、どこか「抑圧されているように感じる」と述べています。この言葉からは、日本社会が持つ厳格さや同調圧力のようなものが、外国人の目には息苦しさとして映っている可能性がうかがえます。

もちろん、生活習慣や文化の違いから生じる摩擦は存在します。ゴミの出し方や騒音問題といった生活レベルでのトラブルや、残念ながら人権侵害、不法就労といった問題もなくならないのが現実でしょう。室橋氏は、関わりたくない人に無理に関わる必要はないとしつつも、日本が外国人を受け入れるという選択をした以上、今後も外国人は増え続け、日本社会も変わらざるを得ないという見解を示しています。これは、私たちが直面している現実であり、目を背けてはならない課題であると言えます。

この書籍は、2019年6月15日に刊行された『日本の異国』(晶文社、1800円)の「あとがきのあと」を元に構成されたものです。この一冊を通じて、読者からは「日本が外国人労働者なしには成り立たなくなっている事実を突きつけられた」「身近な外国人の日常を知ることができた」といった反響がSNSなどで見受けられ、社会の新しいリアルに関心を寄せる声が多く上がっているようです。室橋氏の「個人的にはアジアの『ゆるさ』が、窮屈な日本に広がってほしい」という願いは、異文化共生がもたらす未来への希望を象徴しているように感じられます。

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